ドイツ国際コーチ会議:ナーゲルスマン講演レポート
当代屈指の戦術家に名を連ねるナーゲルスマン。彼はその独創的なアイディアを、いかにしてチームへと落とし込み具現化しているのか。ナーゲルスマン本人が登壇し、そのマネージメントの一端を明かした2019年の国際コーチ会議での貴重な講演の内容を、中野吉之伴さんにレポートしてもらった。
毎年7月にドイツサッカー連盟(DFB)とドイツプロコーチ協会(BDFL)で共催される国際コーチ会議が、2019年はカッセルで行われた。今回のメインテーマは「コーチとしての指導者」。つまり、コーチングがどれだけ指導をする上で重要なのかということを、様々な専門家が掘り下げていくのだ。ホールを埋め尽くした1000人近いA級・プロコーチライセンス指導者は、心理学的、スポーツ学的なアプローチをする大学教授の話に耳を傾けたり、DFBの指導者養成主任インストラクターによる育成への取り組みに関する問いかけを受け、近くに座る者同士でディスカッションをしたりしていた。今回も興味深い内容が目白押しだったが、そんな中で参加指導者が特に注目していたのが、2日目の午前中に行われた講演だ。
ユリアン・ナーゲルスマンが壇上に立つ――この時期は本来、ブンデスリーガ開幕に向けた準備期間の真っただ中。現役プロ監督が参加すること自体があまりなく、まして一コマを受け持って話をするというのは正直異例なことではないだろうか。私も親しい指導者仲間と「これが今回の国際コーチ会議の目玉だよな」とワクワクしていた。……
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Profile
中野 吉之伴
1977年生まれ。滞独19年。09年7月にドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを取得(UEFA-Aレベル)後、SCフライブルクU-15チームで研修を受ける。現在は元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU-13監督を務める。15年より帰国時に全国各地でサッカー講習会を開催し、グラスルーツに寄り添った活動を行っている。 17年10月よりWEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)の配信をスタート。