2019-20シーズンのELで4シーズンぶりとなる頂点に立ったセビージャ。単独最多だった大会優勝回数を6とし、決勝で相対したインテルなど4クラブの3回にダブルスコアの差をつけてみせた。しかも、決勝進出時の勝率は100%。これほどまで相性が良い理由とはいったい何なのか。長らくクラブを追い続けている木村浩嗣さんに解読してもらった。
セビージャはなぜ、ELで勝てるのか?を知るためには、逆説的だが、なぜ他のコンペティションでは勝てないのか?から見ていかなければならない。6回決勝に進んで6連勝のELだけ見ると、“勝負強いセビージャ”と誰でも思うだろう。だが、ELに限らないデータを見ていくと、この印象は変わらざるを得ない。
例えば、何回決勝に進んで何回タイトルを掲げたか?
キーマンであるモンチ(彼については後ほど掘り下げる)がスポーツディレクター(SD)として在籍した18シーズンで、セビージャは19回決勝に進み10個タイトルを獲っている。その10のうち6つが旧UEFAカップを含むEL。ELを除く決勝の戦績は13戦で4勝9敗と寂しい数字が残っている。コパ・デルレイこそ4回ファイナルに進んで2回優勝しているが、CL王者と対戦するUEFAスーパーカップは5度戦ってタイトル獲得は1度だけ。コパ・デルレイ王者としてリーガ王者と対戦したスペインスーパーカップは、4度戦ってやはりタイトルは1個だけである。
つまり、セビージャはELでだけ傑出して強いのだ。……
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Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。