CL決勝進出チーム戦術分析レビュー_パリ・サンジェルマン編
現地時間8月23日、ついに決勝戦を迎えるUEFAチャンピオンズリーグ。悲願の初優勝が懸かるパリ・サンジェルマンか、それとも通算6度目の欧州王座を狙うバイエルンか。注目の一戦を前に、決勝ラウンドの戦いの中から両チームの戦い方が象徴的に現れたゲームをピックアップして分析する。
パリ・サンジェルマン編で取り上げるのはアタランタ戦。アタランタの勇猛果敢な戦い方に手を焼きながらも逆転勝利を手にしたこの試合での戦いぶりには、バイエルンの強烈なプレッシングをいかにかいくぐるのか、そのヒントがあるはずだ。
芸術の都パリを象徴するクラブとして、パリ・サンジェルマン(PSG)はフランスリーグにおける重要な存在であり続けてきた。そんな彼らの転機となったのは2012年。カタール・スポーツ・インベストメント (QSI)が単独株主となったことで潤沢な資金を得たPSGは、世界各国から実力者を補強していく。プレミアリーグやリーガエスパニョーラのクラブにも劣らない財力とブランドを武器に、彼らはチャンピオンズリーグでも決勝ラウンドの常連となった。
しかし、フランスリーグでは優勝を繰り返す絶対王者となったPSGも、欧州の舞台では壁に阻まれてきた。そんな彼らを1つ上の領域に導こうとしているのが、ドイツ人指揮官トーマス・トゥヘルの存在だ。戦術家として知られるドイツ人指揮官が統率するチームは優秀な選手をそろえるだけでなく、戦術的に整備されたビルドアップを武器とする「プレス耐性」の高いチームとして欧州を席巻している。今回は、アタランタのマンツーマンプレッシングを回避したPSGのメカニズムと個人戦術を探っていこう。……
Profile
結城 康平
1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。