現地時間8月7日に再開を迎えるUEFAチャンピオンズリーグ(CL)。先陣を切るラウンド16の4カードは、第1レグから5カ月以上の時を経てついに決着がつく。今回はその中から、マンチェスター・シティ対レアル・マドリーの激突をピックアップ。第1レグではシティが1-2で逆転勝利。追い詰められたリーガ王者はいかにして突破を目指し、シティはどう迎え撃つのか。東大ア式蹴球部でテクニカルスタッフを務める現役東大生・髙橋俊哉氏に展望してもらった。
第1レグの勝敗を分けたのは「戦略」
2月に行われた第1レグの結果を分けたのは「戦術」だけでなく「戦略」であった。ジネディーヌ・ジダンは稀代の名将だが、この試合に関して言えばペップ・グアルディオラが数段上手だったことは間違いない。
その差はスタメンに表れている。注目したいのはレアル・マドリーの右WG(ウイング)の人選だ。ホームで勝利を目指したジダンがギャレス・ベイルやルーカス・バスケスではなくイスコを起用したのは、このポジションにビルドアップの出口としての役割と崩しの創造性を求めていたからだろう。1月のマドリッドダービー(リーガ第22節/○1-0)でも見せていた用兵術だ。
しかし、グアルディオラはこの戦術を予想していたのではないだろうか。その根拠は、左サイドにガブリエウ・ジェズスとバンジャマン・メンディという「大外のレーンで輝ける選手」の起用だ。イスコはフリーマンとして中央にも顔を出すため、レアル・マドリーの右サイドバック、ダニ・カルバハルは1人でサイドの守備を担当することになってしまう。
また、グアルディオラは73分にスターリングを左WGに投入し、疲労の溜まっていたカルバハルを徹底的に攻め立てている。結果的に、シティの同点弾はカルバハルの背後を突いたスターリングがバランを釣り出したスペースから、決勝点はスターリングがカルバハルに倒されて獲得したPKから生まれているが、彼を責めるのはあまりにも酷な話だろう。
ホーム&アウェイというシステムもポイントだ。勝利がノルマだったレアル・マドリーに対し、シティは1点取ってのドローでも良かったのだ。まずは守備から入り、後半になればケガから復帰したばかりの「ジョーカー」を投入できる。前半を無失点で終えた時点で、ジダンはグアルディオラの術中にはまっていたのかもしれない。
ハイプレスを続けたいレアル・マドリーだが…
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高橋 俊哉
1999年生まれ。武蔵高校から東京大学に入学し、文学部社会学専修を経て工学系研究科都市工学専攻に進学。研究内容はスポーツクラブとまちづくりについて。またア式蹴球部ではテクニカルや強化、コーチとして活動。好きなチームはガンバ大阪で、好きな選手はオジェソクと岩下敬輔。高校時代は気持ちで闘うタイプの選手でした。note: https://note.com/techtaka X: @techtaka