Jリーグ創設からの26年間で獲得した主要タイトルは20。他を寄せ付けない実績を築き上げてきた鹿島アントラーズが今、苦境に直面している。クラブワースト記録となるリーグ開幕4連敗を含め、公式戦6連敗スタート。Jリーグに君臨してきた常勝軍団に何が起こっているのか。らいかーると氏がピッチ上でのパフォーマンスを基に分析する。
鹿島アントラーズ不調の原因は、今までの鹿島が定義していた「サッカーとは何か」を変革しようとしているからだ。
これまでの鹿島が定義していた「サッカーとは何か」は、勝利という結果を徹底的に追求したものであった。肝は“徹底的に”という部分である。それゆえに、これまでの鹿島がどのようなサッカーをするかを、具体的に定義することは非常に困難であった。
なぜなら、鹿島は相手によって、その表情をカメレオンのように変化させていたからだ。時にはボールを保持し、時には堅守速攻になり、時には身体を張って時間を殺していたことは、多くの人の印象に残っているに違いない。様々な表情の引き出し方は、自分でも相手でもなく、「勝つためにはどうするべきか?」という視点から導き出されたものだったのではないかと考えている。
では、今季の鹿島は「サッカーとは何か」をどのように定義しているのだろうか。それを、ピッチ上でのプレーから考えていきたい。……
Profile
らいかーると
昭和生まれ平成育ちの浦和出身。サッカー戦術分析ブログ『サッカーの面白い戦術分析を心がけます』の主宰で、そのユニークな語り口から指導者にもかかわらず『footballista』や『フットボール批評』など様々な媒体で記事を寄稿するようになった人気ブロガー。書くことは非常に勉強になるので、「他の監督やコーチも参加してくれないかな」と心のどこかで願っている。好きなバンドは、マンチェスター出身のNew Order。 著書に『アナリシス・アイ サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます』(小学館)。