サッカーにおいて、カウンターが大きな得点源であることは周知の事実だ。ただ、2019-20のブンデスリーガではとりわけカウンターによる得点が増えていた。今季のリーグ前半戦、トータル492ゴール中86ゴールがカウンターからのもので、およそ18%。昨季の前半戦終了時点が62得点、2シーズン前は47得点だったことを考えると、トランジションの重要性が目立つシーズンだと言える。
最もカウンターから得点が多かったのは、ユリアン・ナーゲルスマンが率いるRBライプツィヒと、ルシアン・ファブレが指揮を執るドルトムントだ。ペップ・グアルディオラ時代のバルセロナのゲーゲンプレッシングにRBのDNAを見出すナーゲルスマン、手堅いポゼッションと鋭いカウンターを武器に実績を残してきたファブレとタイプこそ違えど、トランジションに重点を置いている点で両チームには共通する部分がある。
ここでは、そのカウンターをデザインする上で重要な11のポイントについて見ていこう。RBライプツィヒのU-17、U-19でアシスタントコーチを2季務めた後、今季からアメリカ・MLSのフィラデルフィア・ユニオンでU-17 監督に就任したトビアス・ヌッベンマイヤーが、ドイツの指導者向け専門誌『フースバルトレーニング』の中で紹介している。……
Profile
鈴木 達朗
宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。