日本サッカー協会が打ち出したJapan’s wayが注目を集めているが、イングランドやベルギーなども取り組んでいる国レベルのゲームモデルの共有は1つのトレンドになりつつある。その成功例としてウェールズのケースを紹介する。解説してくれるのはウェールズサッカー協会でインターンを経験した平野将弘氏だ。
欧州では育成大国としても知られるウェールズ。その証にEURO2016ではギャレス・ベイル、アーロン・ラムジー、ジョー・アレンなどの黄金世代が中心となりベスト4進出。スカッドの平均年齢は27.3歳で準決勝の先発メンバーで30歳以上はキャプテンのアシュリー・ウィリアムズとジェームズ・コリンズのみだった。2019年3月24日に行われたEURO2020予選第1戦スロバキア戦でも、21歳のダニエル・ジェームズが代表初出場初ゴールを記録し、ハリー・ウィルソンやデイビッド・ブルックスをはじめとする先発の6人が23歳以下。30代はGKのウェイン・ヘネシーだけだった。
Welsh Wayとは何か?
ウェールズが若手主体で常にボールを持ちながら攻撃志向のサッカーができるようになったのは、元代表監督のギャリー・スピードとWelsh Wayのおかげだとサッカー協会の関係者や代表のコーチングスタッフは口をそろえる。長期的な視点で、グラスルーツから代表チームまで一貫したアプローチでどのようにサッカーを教えるか、どうプレーするかをまとめたものがWelsh Wayだ。国内サッカーのすべての年代のスタンダードを上げるべく、元代表監督のクリス・コールマンとアシスタントマネジャーのオシアン・ロバーツが詳細を書きつづったシラバスを作成した。今回はそのWelsh Wayの中にあるウェールズ独自のゲームモデルとプレー原則について解説する。……
Profile
平野 将弘
1996年5月12日生まれ。UEFA Bライセンスを保持し、現在はJFL所属FC大阪のヘッドコーチを務める。15歳からイングランドでサッカー留学、18歳の時にFAライセンスとJFA C級取得。2019年にUniversity of South Walesのサッカーコーチング学部を主席で卒業している。元カーディフシティ