この問いは「セビージャは70ポイントを上回れるか?」に等しい。アトレティコ・マドリーがリーグ優勝する前年の2012-13以来、上位3チームは7季連続で3強が独占。その間4位チームが勝ち点70を超え3強の牙城が崩れかけたのは2014-15(勝ち点77/3位と1ポイント差)と2016-17(勝ち点72/同6ポイント差 )、2017-18(勝ち点73/同3ポイント差)の3度。ジューレン・ロペテギのチームが勝ち点70を超えなければノーチャンス、あるいは3強の一角を崩すのは別のチームということになる。
それは可能か? 前提としてセビージャの史上最多勝ち点は76(2014-15)で、70超はそれを含め24季でわずか4度なのは知っておくべきだろう(勝利が3ポイント制となった1995–96以降)。確かに、第21節を終え3位で勝ち点30は69ポイントペースで、5位アトレティコに2ポイント差というのは期待したくなる。だが、中身を見ると27得点は9番目、20失点は4番目、得失点差7は6番目でしかない。
ジエゴ・カルロスとジュール・クンデのCBコンビの補強が大成功で、新監督が植え付けたボールロスト後のプレスが機能し守備力は上がった。1-0、0-1での勝利が5回としぶとくはなった。が、3強との直接対決ではバルセロナには大敗(4-0)、レアル・マドリーにはホームでもアウェイでも敗れ(0-1/2-1)、アトレティコにはホームで引き分け(1-1)である。
[4-3-3]のCF枠はポストプレーで周りを生かせる選手(ルーク・デ・ヨンク)に割かざるを得ずゴールゲットはウインガーの役目で、ハビエル・エルナンデス(MLSのLAギャラクシー移籍が決定)と2トップを組ませる選択肢もなかった。そうした安定性と引きかえの戦術的硬直性を打破する攻撃タレントもいない。好チームだがやはり4、5番手が定位置ではないか。
Photos: Getty Images
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木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。