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コンテ式3バックが早くも機能 質が高く好バランスのインテルCB陣

2019.11.28

注目クラブの「チーム戦術×CB」活用術

欧州のトップクラブはセンターバックをどのようにチーム戦術の中に組み込んでいるのか。そしてCBはどんな要求に応え、周囲の選手と連係し、どんな個性を発揮しているのか。2019-20シーズンの興味深い事例を分析し、このポジションの最新スタイルに迫る。

#8_インテル

 イタリアで、3バック戦術が流行した時期があった。システムを固定化させない考え方が最近の流行にはなってきたが、ともかくその完成形を築いたのがユベントス時代のアントニオ・コンテ監督だったと言える。もともとはオランダサッカーに学んだ[4-2-4]を志向していたが、レオナルド・ボヌッチの展開力を生かすため視野の取りやすい3CBの中央にしたことが始まりだった。これはユーベを完全に蘇らせ、今に続く国内1強体制の礎を築くことに繋がった。

 ユーベ、そしてチェルシーで成功体験を確立したこの守備のやり方を、コンテは新天地のインテルにも持ち込んでいる。機能的には4人のラインディフェンスと変わらず、ボール非保持の際は5人が最終ラインに引いてラインディフェンスを企てる。逆にビルドアップの際は、ウイングバックを高く前方に張らせる一方で、3バックも幅を取る。そうして相手のプレスの網にかからないようにしながら、組み立てをしていくやり方だ。

 その結果指揮官は、CB陣の力をうまく引き出して質の高いDFラインの構成に成功している。コンテ流の3バックを実行する上で適したメンバーばかりが、インテルにはそろっていたのだ。

 3CBの中央は、展開力ならボヌッチにも引けを取らないステファン・デ・フライが仕切る。レジスタのマルセロ・ブロゾビッチと入れ替わりつつ、後方からゲームを組み立てていく。しかし組み立ては、彼に依存するわけではない。左右のCBにもボールを回せる人材を置けるのが今のインテルの強みになっている。ミラン・シュクリニアルは、守備的MFでもプレイできるだけの繊細な技術を持ち、パスが正確。また足下のうまさでいえばアトレティコ・マドリーから獲得したディエゴ・ゴディンもかなりのもので、前所属クラブでの屈強ぶりのみを覚えているインテリスタには意外なサプライズとして受け止められていた。

 低い位置では、この3人が間合いを取ってパスを回したのち、フリーとなった中盤に繋げていって攻撃を加速させていく。またボールが相手陣内にある時には、ボールサイドにいるCBも積極的に攻撃へと関わることが許可されている。SBの時と同様に広いスペースをカバーできるダニーロ・ダンブロージオや、バーリ時代にコンテ監督から指導を受けたアンドレア・ラノッキアもそれぞれこのポジションでプレー可能で、さらには安定した守備能力に加え左足での正確なミドルパスが出せるアレッサンドロ・バストーニも控えている。 それぞれ対人能力の高いCBが収縮し、ゴール前を固める守備そのものも強固だ。「セリエAは守備で制す」という格言があるこの国では、タイトル獲得に強固な守備は必須。このままシーズンを戦い抜けるか注目だ。

セリエAでは首位ユベントスを勝ち点1差で追走中。安定した戦いぶりで絶対王者の9連覇阻止に挑む


Photos: Getty Images

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アントニオ・コンテインテル

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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