ついに開幕!2019 Jリーグで川端暁彦が注目する若手選手は?
サカつくRTW 俺の攻略法#2
昨年4月に「サカつく」シリーズ初のアプリ版としてリリースされ、すでに150万DLを突破した大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム「プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド」(サカつくRTW)。
そのサカつくRTWに昨年12月、 Jリーグモードが実装! サッカーゲームで初めて、J1からJ3まで全54クラブが登場するとあって、多くのファンの間で話題となっている。
今回はそのJリーグモードに、footballistaが誇る3人のエキスパートが挑戦。それぞれの経験と知識をフル活用して編み出した“攻略法”を披露する。
第2回に登場するのは、国内のユース世代を精力的に取材されている川端暁彦さん。ついに幕を開けたJリーグの注目若手選手を教えてもらうとともに、シリーズユーザーとして培ってきて今作でも活用しているという「サカつく」攻略のセオリーを教えてもらいました。
無名から、下からの台頭への期待
後輩の励みになった安部のジャンプアップ
J3からステップアップする選手が増えていく予感
――いよいよ2019シーズンのJリーグが開幕しました。そこでまずは、ユース世代をつぶさに取材されている川端さんが今シーズン注目している若手選手を教えてください。
「そりゃいっぱいいますが(笑)、高卒1年目の選手なら名古屋グランパスのDF菅原(由勢)だろうね。彼は相当いい、全部“持ってる”」
――全部、ですか。
「そう。頭は良いけど頑張れない、技術はあるけどフィジカルがないとかいう選手って、よくいるじゃない? でも彼の場合は技術も運動能力もあって、頭が良くて、なおかつ根性もある(笑)。名古屋はドンドン大量補強していくクラブだから、出場機会を得るのは簡単じゃないと思いますが、持ってるものは本当にスペシャル。去年、アジアカップ前の日本代表合宿にトレーニングパートナーとして参加してたんだけど、そこでも凄く評価されていたからね。五輪代表はもちろん、そう遠くないうちのA代表入りもあり得る選手だと思っています」
――アタッカーで期待している選手は?
「月並みですが、昨シーズンのベストヤングプレイヤー賞に選ばれた安部裕葵(鹿島アントラーズ)。頭は良いし勇気もあるし、技術系なのに走れる現代的な選手だよね。
ただ、彼は育成年代でまったく評価されてこなかった選手なんだよ。凄い才能を持っているにもかかわらず、高校3年生になるまでほとんど注目されていなくて、年代別代表に入ったのも鹿島入りしてからなんです。広島県の瀬戸内高校の出身で、今年のお正月に高校サッカー選手権で4強入りしたチームですね。その3年生が1年だった時の10番が安部。とにかく意識の高い努力家だった安部がジャンプアップしていったことが後輩たちの励みになって、サッカー部としての意識も変わったんだと安藤正晴監督も話されていた。そうやって(セレクションなどに)引っかからなかった選手が地味に努力を続けて芽が出るというのは、サッカーの面白さ。欧州でもエンゴロ・カンテの経歴とか本当にドリームだけど、ああいう物凄いスピードで成長していく選手と出会えると楽しいよね」
――今挙げていただいた2人は昨シーズンからJ1でプレイしていました。J2やJ3でプレイしていた選手の中で、今シーズン注目している選手は?
「知る人ぞ知るでは全然ないんだけれど(笑)、今季レノファ山口から大分トリニータに移籍したオナイウ(阿道)。彼も非常に特殊な成長曲線を描いていて、下のリーグでブレイクした選手が上のリーグに引き抜かれていく流れっていうのは非常にいいことだし、楽しみですよね。
ちなみに、彼が加入した大分の今年の補強コンセプトは『J2選抜』だそうで。オナイウの他にも水戸から加入した伊藤涼太郎とかJ2で活躍した選手を獲ってきていて、チームとしても面白いと思いますよ。あと、監督の片野坂知宏さんはJリーグでも指折りの戦術家。本当にこだわってやっているなという印象があるんですけど、そういうチームを率いてどうJ1に挑んでいくのか、興味深いです」
――片野坂監督はどういったコンセプトを志向する指揮官なんでしょうか?
「彼はミシャ・チルドレンの一人で、スタイルとしてはいわゆるポジショナル寄りです。後ろからしっかり繋いでいくための技術、戦術を仕込んでいく。『こういうことをやりたいんだな』というのが伝わってくるサッカーなので、観ていて面白いですよ。もちろん、J1はそんなに簡単じゃないとは思います。J2と違って質的優位がなかなか取れない舞台だと思うので、そこでどう戦うのか。その意味でも選手のブレイクスルーが欲しいですね。誰が台頭してくるのか、期待したいです」
――このあとお話をうかがう『サカつくRTW』には、サッカーゲームで初めてJ3クラブが収録され話題になりました。昨シーズンのJ3で目に留まった、新シーズンも楽しみな選手は?
「昨シーズン、FC琉球で16ゴールを挙げてブレイクした富樫(佑太)。彼は面白いですよ、キャラも含めて(笑)。出身の國學院久我山高校って、すごくスマートなサッカーをするチームでうまい選手が多いんです。ただ、彼は当時から一人だけ野生児が混ざっている感じで異彩を放っていました。ピッチの外でも、チームメイトはみんな大学進学を目指して勉強するような環境で、一人だけ海外に飛び出してスペインで1年間プレイしたり。そういう個性と野心がまずいいなあ、と。そうやってはみ出していくような選手の方が、ストライカーとしては絶対に面白いですしね。今シーズン移籍したJ2のFC岐阜でも頑張ってほしいですし、こういうふうに下から出世していく選手っていいよなって思います」
――川端さんが考える、J3の魅力とは?
「最近、J3をキャリアのスタートにする選手やステップにする選手が増えてきている印象はあって、いずれもっと活性化していくのかなという予感はあります。ルーキーが、とりあえずブランドのあるチームに入ろうって流れがちょっとずつ止まりつつあって、出場機会のあるチームに入ろうというふうに変わってきていますから。そういう意味でも、J3は今後ますます面白い部分が出てくるんじゃないかな。
実際、J3から出世した選手っていうのも出始めていますよね。例えば、セレッソ大阪の福満(隆貴)。もともと九州リーグでプレイしていて、そこからJFLを経て当時J3だった山口に引き抜かれ、チームとともに昇格したJ2で活躍してJ1のC大阪に引き抜かれた。高校卒業後も無名だったところからJ1まで上り詰めたっていうシンデレラストーリーですけど、こういうステップを踏んでいける選手が出てきたってことが、3部リーグまで整備した意義なのかなと。あとは大分のFW藤本憲明。JFLの佐川印刷からJ3の鹿児島へ移籍して、さらにJ2時代の大分に昨季から引き抜かれました。そしてチームと一緒にJ1へ上がってきた。こういう選手の活躍が増えてくると、下部カテゴリーでプレイしている選手たちの夢も拡がりますよね。
さっき話した安部だって、ちょっとした巡り合わせが悪ければプロになれていないと思います。そういうところで一歩間違ってしまったタレントってきっといっぱいいるんです。日本は大学がある程度セーフティネットとして機能していますけど、みんながみんな大学に進学できるわけじゃないし、進学するにしても(サッカーに打ち込めるような)いい条件の推薦となると、どうしても名門校やJのユース所属の選手になってしまう。そうじゃないところに埋もれている選手たちはそう簡単に大学に行けないし、行けたとしても大学でサッカーを続けるっていう選択肢がなかなか取れない。
そう考えると、ほんの少しの運命の悪戯でJリーグに行けず、そのまま埋もれてしまったタレントがいたんじゃないかという恐怖感がすごくあります。そういう選手を救うためにも、下のリーグがちゃんと機能するっていうのは本当に大事なことだなと、とみに思っています」
――そのためには、見ている側ももっともっとJ3を盛り上げていかないといけませんね。その他、U-21世代で期待している選手を教えてください。
「U-21だと湘南ベルマーレの杉岡(大暉)ですね。貴重な左利きの大型選手であるのに加えて、彼も頭の良い選手です。曺(貴裁)監督はよく『同じ失敗を2度しない選手なんだ』って言っていて、市立船橋高校時代に彼を指導した朝岡(隆蔵)監督も『本当に手がかからないキャプテンだった』と言って信頼していました。
あとは、やっぱり久保建英は外せませんよね。いろいろな報道もありますけど、少なくとも『サカつくRTW』では起用できますから(笑)」
――今年は5月にU-20、11月にはU-17のワールドカップが開催されます。大会に選ばれ、活躍するのは誰かという視点でJリーグを見るのもいいですよね。
「U-20の方はポット分けが決まった段階で『一番いい組み分けないかな』ってシミュレートしていて、フランス、ナイジェリア、アルゼンチンと一緒になる可能性もあったんですよね。『こうなったら相当いいなー』と思っていたんだけど(笑)」
――実際にはイタリア、メキシコ、エクアドルとなってかなり手ごわそうな組み合わせですけど、そうなってたらヤバかったですね。
「いやいや、せっかくの世界大会なので、強いところと当たれた方が絶対にラッキーだと思います。個人の経験値としてその方が間違いなく大きいし、この機会で欧州へ自分を売り込もうという選手ならなおさら。強い国と戦って力を示すのが一番ですから。僕は年代別の世界大会については、楽な組み合わせにならないほうがいいと毎回思っています。まあ、アジア予選は楽しみたいですけど(笑)。何にせよ、今から楽しみです」
日本の片隅で、サカつく愛をさけぶ
ハードを買ったのは『サカつく』のため。
趣味的に楽しむ方が絶対に面白い
――ではここからは、「サカつくRTW」について聞かせてください。取材前に、川端さんにとって「サカつく」シリーズは「神聖なもの」だとおっしゃっていました。そのこころは?
「以前、編集長を務めていた『エル・ゴラッソ』が、PSPで発売されたコンシューマー版の『サカつく』に登場させてもらって、今回の『サカつくRTW』開発陣とも一緒にいろいろやらせてもらいました。そもそも僕はセガサターンもPSPも、『サカつく』をやるために買った男ですから(笑)。
そして、今回つけたチーム名がこれなんですけど……。
『ブラオヴィーゼ』というチーム名は『サカつく愛』がある人にはわかるやつです(笑)」
※『サカつくシリーズ』で、架空クラブチームを立ち上げる際に用意されていたネーミングアイディアの一つ。「エルフシュリット」「ロッソ」「アウローラ」「レオーネ」そして「ブラオヴィーゼ」などがシリーズ初期に誕生。ドイツ語・フランス語または造語を組合せるというJリーグのネーミングと同じアプローチが採られており、“それっぽい感”があったこれらのネーミングアイディアは後継シリーズへ継承され、ユーザーからも慣れ親しまれる要素となっていた。
――(笑)。そんな「サカつく愛」にあふれた川端さんは、『サカつくRTW』をプレイしてどう感じましたか? 率直な感想を聞かせてください。
「ひと言で言えば『サカつく』ですね。スマホ版なので、いろいろ変わっているんじゃないかと思っていたんだけど、プレイしてみたらそんなことなくて。非常に『サカつく』だな、と。だから、攻略法っていうのも『サカつく』のセオリー通りに進めています」
――ほう。その「サカつく」のセオリーとやら、聞かせてもらえますか?
「最初にCFを補強して、次にGK、そしてCBとセンターラインを固める、ずばりこれです!」
――日本サッカーに足りないと言われているポジションですね。
「そうそう。最初に久保竜彦が加入して、そのあとに1人選手をスカウトする時、香川真司や本田圭佑もいたけど目もくれずGKの中村航輔にしたからね。
なぜかと言うと、複数のフォーメーションに対応できるから。例えば、3バックにしたらSBが、2トップにしたらウイングがいなくなる。でも、CFとボランチ、CB、GKはどんなフォーメーションを採用したとしてもいなくならない。ゲームを始めたばかりの頃は資金も十分じゃないしね。もちろん『俺は3トップ以外はやらねえ』とかいうこだわりのある人は自由でいいと思います(笑)」
――「サカつく」シリーズをプレイする時、自分が志向するプレイスタイルを前提としてチームを作っていくのか、選手に合わせてプレイスタイルを決めるのか、どちらでしょうか?
「最終的にはいろいろ(やり方が)あると思いますけど、自分は監督に合わせます。監督が[4-4-2]で、プレッシングでいくイメージを持っているのに、『そうじゃない。[3-6-1]でポゼッションだ』ってオーナーが押しつけてもうまくいきませんよ」
――『footballista』でも特集した「総力戦」ですね。
「そうそうそう。それで監督が選び放題になったら、好きな監督を連れてくればいいんです。順番です、順番。いきなりプレイスタイルありきでやっても勝てませんから。前回、林舞輝GMも言ってましたけど」
――なるほど。では、川端さん的「サカつく」の醍醐味、楽しみ方ってどんなところにありますか?
「個人的には、『サカつく』って趣味的に楽しむ方が絶対に面白いと思っていて。『俺は絶対に外国人選手は使わないぞ』とか、『地元出身の選手だけでチームを作るぞ』とか。さっき今シーズンのJリーグの注目若手を紹介したけど、自分でよくやっていたのが『U-21縛り』。そんなふうに、何か自分なりのこだわりを持って進めていくのをおススメします。例えば、今回はJ3のチームも登場するから『J3所属選手縛り』なんていうのをやってみるのも楽しそうだよね」
――では実際、どんなチーム作ったんですか?
「これだね。[3−5-2]で『長崎スタイル』。Jリーグ最強FWパトリックとスロベニア代表FWイリチッチの2トップ。中盤の柱はフランス代表のダイナモ、マテュイディ。CBには日本代表の昌子源!」
――ちょっと待ってください、めっちゃガチじゃないですか(笑)。『趣味的にやる』とか『オススメはU-21縛り』とか言っていた川端さんはどこへ?
「だって勝てないと悲しいじゃないか(笑)。勝利こそすべてだよ」
――さっきと言っていることがまるで違う(笑)。
「これでJ1で6位でした。Jリーグカップ準決勝で、2-0から大逆転負けを喰らって絶望したのが一番の思い出です(笑)」
――それは一番辛いやつだ(笑)。では最後に、これから『サカつくRTW』を始める方へメッセージをお願いします!
「正直言って、最初リリースされたのを知った時にはスマホ版ということで、ちょっと二の足を踏む部分があったんです、もうオッサンだから(笑)。でも実際にプレイしてみて、今までの『サカつく』を遊んだことがある人にとっては『とっつきやすい』なと。なので、同じような理由で敬遠している人がいたら、とにかく一度プレイしてみてほしいなと思います。それに、Jリーグの観客の平均年齢にあたる年代ってちょうど『サカつく』世代ですね。僕らの世代って、スマホゲームを敬遠している層も少なからずいると思いますが、『サカつく』のJリーグモードは違和感なくやれると思うので、オススメしたいですね」
<商品情報>
商品名 :プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド
ジャンル:スポーツ育成シミュレーションゲーム
配信機種:iOS / Android
価 格 :基本無料(一部アイテム課金あり)
メーカー:セガゲームス
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http://sakatsuku-rtw.sega.com/
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Photos:Yuichiro Kubo
Profile
久保 佑一郎
1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。