1億ユーロの18歳筆頭に多士済々。リーガのU-21注目株
CUCHO Hernández
クチョ・エルナンデス
1999.4.22(19歳)176cm / 71kg
FW9|ウエスカ ※ワトフォードからレンタル中
コロンビア代表
FW大国が生んだ“バルサキラー”
ラダメル・ファルカオやカルロス・バッカなど、近年優秀なストライカーを輩出しているコロンビア生まれのFW。昨年夏に2年間のレンタルでワトフォードから加入すると、チーム最多の16得点を挙げてクラブ史上初の1部昇格に貢献した。迎えた今季はここまで3得点。トップリーグの壁に苦しんでいるが、そのうちの1ゴールはカンプノウで記録したもの。昨季もバルセロナBを相手に2得点を奪っており、“バルサキラー”を強く印象づけている。昨年10月には飛び級でA代表に初招集。コスタリカ戦で後半途中からピッチに立つと、約20分間の出場で2得点をマークし華々しいデビューを飾った。重心の低いドリブルから放たれるシュートやこぼれ球への反応の速さは、本人が「昔から参考にしている」と語るセルヒオ・アグエロを彷彿とさせる。スペインで実績を残せばプレミアの舞台で直接対決する日も訪れるはずだ。
Ferran TORRES
フェラン・トーレス
2000.2.29(18歳)184cm / 77kg
FW20|バレンシア
U-19スペイン代表
アセンシオに憧れる1億ユーロの男
右サイドを主戦場とするアタッカーで、快足を生かしたドリブル突破を最大の武器とする。また、中央へカットインしてからの左足のシュートは強烈。利き足は右だが両足を等しく使えるため、相手DFとしてはコースを限定しにくい。余計な“エゴ”がなく、タイミング良く味方を使う聡明さも持ち合わせている。プレースタイルから同僚のゴンサロ・ゲデスと比較されるが、本人が憧れているのは「アセンシオ」。確かに6歳でバレンシアに入団して以降、将来を嘱望されてきたエリートとして多くの共通点を持つ。一昨年に開催されたU-17W杯では全7試合に出場して準優勝に貢献。昨年春には契約を2021年まで延長した。違約金は破格の1億ユーロ(約130億円)。その5倍の価値があるとされるアセンシオの領域には達していないが、スター街道を駆け上がっていくだけの実力を備えている。
Igor ZUBELDIA
イゴール・スベルディア
1997.3.30(21歳)180cm / 79kg
MF5|ソシエダ
U-21スペイン代表
ボールを奪える中盤のコンダクター
今季前半戦のソシエダは前監督アシエル・ガリターノの下、ポゼッションから攻守の素早い切り替えを重視するサッカーへの転換を図った。その指揮官が唯一、リーグ開幕10試合すべてで先発起用したのがスベルディアだった。11歳から“ラ・レアル”に在籍する生え抜きで、シャビ・アロンソ、イジャラメンディの系譜を継ぐ中盤のコンダクター。展開力に加えて守備力が高く、プレシーズン中にはCBとしても起用された。イマノル・アルグアシル監督に代わった現在も[4-2-3-1]の3列目でイジャラメンディとドブレピボーテを形成。目につくのはボール奪取力だ。相手のファーストタッチを狙って瞬時に間合いを詰める対人守備は抜群で、絶妙なポジショニングに基づいたインターセプトも得意とする。昨年6月には2024年までの長期契約を締結。派手さはないが、同じ1997年生まれのオヤルサバルとともにクラブの将来を担う選手と期待される。
Fran BELTRÁN
フラン・ベルトラン
1999.2.3(20歳)170cm / 63kg
MF8|セルタ
U-19スペイン代表
クロースに“匹敵”するプレーメイカー
本人が「自分によく似たタイプ」と名前を挙げる、マルコ・ベラッティを彷彿とさせるプレーメイカー。パス成功率(91.9%)はチーム1位。“パスマスター”として名高いクロース(94%)と遜色ない。ファーストタッチで相手を置き去りにし、長短織り交ぜたパスでゲームを作っていく。170cmと小柄だが、簡単に当たり負けしない体の強さがあり機動力も兼備。昨季まで5年間在籍したラジョ・バジェカーノでパスの名手として知られたロベルト・トラショラスも、「とてもダイナミックで戦える選手。6番としても、8番としてもプレーできる」と賛辞を惜しまない。昨季2部優勝を果たした古巣と喧嘩別れする形で、今夏セルタに完全移籍。現在は同じようなサイズとプレースタイルを持つスタニスラフ・ロボツカと中盤でコンビを組んでいる。良き手本となる先輩の下で、さらなる飛躍が期待できそうだ。
Pedro PORRO
ペドロ・ポッロ
1999.9.13(19歳)176cm / 70kg
DF24|ジローナ
スペイン
複数システムに対応する攻撃型SB
今季チーム最年少の19歳は今季開幕戦でリーガデビューを飾ると、ここまで20試合に出場。 最近まではユース登録だったため背番号29でプレーしていた。3バックと4バックを併用するエウセビオ新体制のジローナでは、右ウイングバックや 右SBを担当。ウイング出身だけあって攻撃力に秀でており、ここまで3アシストを記録している。本人いわく、アイドルは「イスコ」。ただ技巧派というよりは縦への素早い突破を得意とし、90分間タッチライン際を上下動し続けるタフネスさを持ち味とする。一方で1試合平均のインターセプト数チーム2位の値を叩き出すなど、守備も悪くない。スペインの2強に加え業務提携先のマンチェスター・シティが興味を示しているとの報道があり、近い将来に大出世を遂げているかもしれない。
Unai SIMÓN
ウナイ・シモン
1997.6.11(21歳)190cm / 88kg
GK25|アスレティック・ビルバオ
U-21スペイン代表
“ケパの功名”で脚光浴びた大型GK
昨夏チェルシーへ移籍したケパの後釜として期待されるバスク産の大型GKだ。シーズン開幕前、昨年7月の時点で2部エルチェへのレンタルが決まっていたが、ケパの移籍と代役を務める予定だったエレリンの負傷離脱が重なり、19日後には復帰が決定。迎えた開幕戦でトップチームデビューを果たすと、第4節レアル・マドリー戦(1-1)と第7節バルセロナ戦(1-1)で好セーブを連発してその名を世界にとどろかせた。190cm/88kgの恵まれた体躯を生かしたダイナミックなセービングを特長とし、中でもシュートストップには絶対の自信を持つ。今季がデビューシーズンとは思えないほどの冷静さで、突然訪れたピンチにも好対応を見せていた。U-21代表では正GKを務め、10月にはA代表の練習にも参加。3歳年上のケパと“ラ・ロハ”の守護神の座を争う日も近いかもしれない。
Photos: Getty Images
Profile
北川 紳也
1984年、徳島県生まれ。学生時代にバルセロナへ1年間留学し帰国。マニュアル制作会社を経て、2011年夏から株式会社フットメディア(http://www.footmedia.jp/)に所属する。プレミアリーグやラ・リーガに関するリサーチ業務のほか、執筆活動も行う。『フットボリスタ』や『サッカーキング』にコラムを寄稿している。