得点王から10代のA代表戦士まで。ブンデスリーガのU-21注目株
Luka JOVIC
ルカ・ヨビッチ
1997.12.23(21歳)181cm / 76kg
FW8|フランクフルト ※ベンフィカからレンタル中
セルビア代表
1試合5発!で歴史に名を刻んだリーグ得点王
ブンデスリーガ第8節デュッセルドルフ戦でリーグ史上17回目(達成者は14人)となる“フュンファーパック”(1試合5得点)の離れ業をやってのけたストライカーだ。母国の名門ツルベナ・ズベズダの最年少デビュー記録を塗り替え、2016年2月にベンフィカに引き抜かれた経歴があり、レンタル2年目のフランクフルトでその才能を文字通り“爆発”させている。同僚のFWセバスティアン・アレが『キッカー』誌に「すべてを兼ね備えた選手だと思う。スピード、テクニック、フィジカル、ポリバレント性、そして図抜けた決定力がある」と語ったように総合力が高く、とりわけダイレクトシュートの技術はリーグでもトップクラス。飛躍のきっかけは昨季に師事したニコ・コバチ(現バイエルン監督)で、本人は「僕の人として、選手としての発展を助けてくれた」と恩師への感謝を口にしている。
Reiss NELSON
リース・ネルソン
1999.12.10(19歳)175cm / 71kg
FW9|ホッフェンハイム ※アーセナルからレンタル中
U-21イングランド代表
今季最大の新発見はイングランドから飛来
ブンデスにおける今シーズン最大の新発見と言える存在だ。若手の起用をためらわないユリアン・ナーゲルスマン監督に惹かれ、移籍期限ぎりぎりにレンタルでホッフェンハイムに加入(保有権はアーセナル)すると、第11節までにデビュー戦での初ゴールを含む計6ゴールを叩き出して一躍、時の人となった。得点力はもちろんのことスピード、ドリブル、クイックネスなど、昨年夏にホッフェンハイムを退団したセルジュ・ニャブリを思わせる部分が少なくない。アーセナルのアカデミー育ちで、フットボーラーとしてのルーツはロンドンのストリート。本人はブンデスの公式サイトで「自分より大きくて強い年長者たちに揉まれることで、主にメンタルの面で役立った」と回想している。そこで得た経験が自身初の国外挑戦、屈強な大男が居並ぶドイツでの飛躍に好影響を及ぼしているのは間違いない。
Florian NEUHAUS
フロリアン・ノイハウス
1997.3.16(21歳)183cm / 74kg
MF32|ボルシアMG
U-21ドイツ代表
育成の名門出身。“実行力”が目を引くセントラルMF
ラースとシュベンのベンダー兄弟やユリアン・バイグルを輩出した1860ミュンヘンのアカデミー出身。育成の名門で心身ともに鍛えられたセントラルMFは、トップチームデビューした翌シーズンにボルシアMGへと引き抜かれた。ただ、すぐにデュッセルドルフにレンタル移籍。この新天地で1部昇格に貢献を果たすと、今シーズンから復帰したボルシアMGで一気にレギュラーの座を勝ち取った。その勢いは本物で、リーグ4位タイの8アシストを決めている。非凡なダイナミズムや強烈なミドルも持ち味だが、デュッセルドルフの指揮官フンケルが称賛するのは「恐れを抱かずにボールにチャレンジし、それを実行するための強い意思を持っている」というパーソナリティ。似通うのはバイエルンのレオン・ゴレツカで、このまま順調に成長を遂げれば、そう遠くないうちにドイツ代表からお呼びがかかるだろう。
Florent MUSLIJA
フロレント・ムスリヤ
1998.7.6(20歳)172cm / 65kg
MF35|ハノーファー
U-20ドイツ代表
ハノーファーの伝統、名プレースキッカーの系譜継ぐ新星
ハノーファーには優秀なプレースキッカーの系譜が存在する。代表例を挙げれば、元チェコ代表のヤン・シマク、元ハンガリー代表のフスティ・サボルチ、ドイツ代表のラース・シュティンドルに元ドイツ代表のクリスティアン・パンダー――そのOBたちの正当後継者として期待されているのが、今季3部のカールスルーエから加入した20歳の新星ムスリヤだ。第8節レバークーゼン戦で直接FKを叩き込み、地元メディアから「ツァウバーフース」(魔法の足)と激賞された攻撃的MFは、「速くて、テクニカル」(ハノーファーのSDホルスト・ヘルト)な特徴の持ち主でもある。ゲームの流れを読む目や思考スピードにこだわるカールスルーエのユース出身者らしく、状況判断力も悪くない。いずれは自身のロールモデルであるシュティンドルのように、ハノーファーを代表する存在になるかもしれない。
Kai HAVERTZ
カイ・ハベルツ
1999.6.11(19歳)188cm / 83kg
MF29|レバークーゼン
ドイツ代表
天狗にならず、神童は10代にしてA代表に到達
昨年9月のペルー戦でドイツ代表デビューを飾った俊英は、史上最年少でブンデス50試合出場に到達した。課題のフィニッシュに磨きがかかった今季は国内リーグで6ゴール、ELで3ゴールを記録。インサイドとアウトサイドを器用に使い分けるトラップでボールを収め、決定的なパスを供給するだけでなく、より怖さのあるアタッカーに成長を遂げつつある。このレフティが攻撃的なサッカーとテクニック重視を育成コンセプトに掲げるレバークーゼンのユースに加わったのは2010年。両親からの「傲慢になるな」という教えを胸に15歳で実家を飛び出すと、15-16にBユーゲント(U-17)ブンデス制覇の立役者に。プロデビューを飾った翌シーズンに大きな脚光を浴びたものの、謙虚な青年は一度として浮かれることなく、現在も自身のスキルアップに全精力を傾けている。
Achraf HAKIMI
アシュラフ・ハキミ
1998.11.4(20歳)181cm / 73kg
DF5|ドルトムント ※レアル・マドリーからレンタル中
モロッコ代表
レアル・マドリーの先輩と“同じ”足跡をたどる攻撃型SB
『トゥットスポルト』紙主催のヤングプレーヤー賞「ゴールデンボーイ」の最終候補20人に残ったSBで、左右両サイドで機能する利便性(ドルトムントのファブレ監督いわく、本人が好むのは右でのプレー)に加え、パワーやダイナミズムなど身体的特徴も光る。ボールを止める、運ぶ、蹴るという基本的なスキルも上々で、ウイングでも機能し得る攻撃センスが最大のセールスポイントだ。レアル・マドリーのカンテラ出身だが、驕りや自惚れとは無縁の性格で、古巣の先達であるダニエル・カルバハルのキャリア(レバークーゼンで武者修行)を参考にドルトムントへのレンタル移籍を選択。新天地でも「ピシュチェクから多くを学んでいる」と謙虚な姿勢を見せ、日に日に逞しくなっている。世界屈指のSBに育ったとしても不思議はない――ドイツメディアの間では、早くもそんな称賛が聞こえ始めている。
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— footballista (@footballista_jp) 2019年1月19日
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Photos: Bongarts/Getty Images
Profile
遠藤 孝輔
1984年3月17日、東京都生まれ。2005年より海外サッカー専門誌の編集者を務め、14年ブラジルW杯後からフリーランスとして活動を開始。ドイツを中心に海外サッカー事情に明るく、『footballista』をはじめ『ブンデスリーガ公式サイト』『ワールドサッカーダイジェスト』など各種媒体に寄稿している。過去には『DAZN』や『ニコニコ生放送』のブンデスリーガ配信で解説者も務めた。