「リアルサカつく」中の24歳GM林舞輝が「サカつくRTW」に挑戦!
サカつくRTW 俺の攻略法#1
昨年4月に「サカつく」シリーズ初のアプリ版としてリリースされ、すでに150万DLを突破した大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム「プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド」(サカつくRTW)。
そのサカつくRTWに昨年12月、 Jリーグモードが実装! サッカーゲームで初めて、J1からJ3まで全54クラブが登場するとあって、多くのファンの間で話題となっている。
今回はそのJリーグモードに、footballistaが誇る3人のエキスパートが挑戦。それぞれの経験と知識をフル活用して編み出した攻略法を披露する。
先陣を切るのは、23歳のゼネラルマネージャー誕生(就任当時)で話題を集めた林舞輝GM。 就任に際し「サッカークラブを創るというゲームを攻略しようとしている」と語り、奈良クラブを舞台に「リアルサカつく」に挑戦中の林GMが見出した「サカつくRTW」プレイのススメとは?
GMとしてのはじめの一歩
一番大事なのは「何を変えるか」ではなく「どう変えるか」。
僕は魔法使いではありませんから。特別なことは何もしていません
――わざわざ駅まで迎えに来てもらいありがとうございます!
「こちらこそ、奈良まで来ていただいてありがとうございます! それはそうと、せっかくなんでまずは観光しましょう!」
――わざわざ案内までしていただいてありがとうございました(笑)。
「僕もなかなか時間が取れなくて奈良の街を回れていなかったので、ここぞとばかりに楽しませてもらいました(笑)」
――では、あらためて。「サカつくRTW」についてうかがう前に、就任して1カ月が経った奈良クラブGMとしての活動について聞かせてください。実際に仕事をしてみて、どうですか?
「楽しいですし、面白いですよ。いろいろと予想外のことは起きますけど(笑)、それも含めて最高です」
――誤算とか、そういったものはありませんか?
「ないです。至って順風満帆というか、普通のことを普通にやっているだけです。僕は『普通に仕事をして、普通に勝てるようにする』ために来ましたから。普通にやるべきことをやっていますね」
――具体的に、どういった仕事をされているんでしょうか?
「この1カ月の主な仕事の内容としては、奈良クラブのゲームモデルの協議、トップチームの強化としてスカウティングと補強、アカデミーとスクールのダイレクターのような仕事、全選手とコーチングスタッフの査定方法を考えたり、それからインターンのコーディネートやグッズの企画、テクノロジー分野や営業もしています。要するに、サッカーに関わるものすべてですね(笑)。アカデミーの試合も視察したんですが、すごくちゃんとしていて、いいサッカーをしていました。トップチームはもちろん、アカデミーやスクールの育成ももっともっと面白くなるんじゃないかなと思いますよ。トップチームに関しては、昨年末に監督とゲームモデルやトレーニングについてみっちり話し合いました。それもめちゃくちゃ面白いですし、いろいろと勉強させてもらってもいます」
――どんなことを学んだんでしょうか?
「この1カ月のことで言うと、監督がどういう選手を欲しがっているのかや、どう選手を評価するのかなどです。僕は実際に選手を獲得するということはなかったので、『そういう見方をするんだ』っていう発見がありました。
「他には、先日開催した『N. PARK DAY』のようなイベントの運営や開幕戦での集客、グッズ販売戦略などにも関与することができていて、営業に行ったりもしていて、そこでの学びも非常に大きいです。マーケティングのこと、プロモーションのこと、ビジネスのことに関して僕は素人です。こういう経験というのは、奈良クラブのGMにならなければ絶対になかったですから。そういったことを学べるというのは新鮮で、面白いですね」
――弊誌のインタビューの中で、「育成も補強戦略もケガした選手の復帰プロセスも筋トレの理論もトレーニングについても、あるいは栄養とかメディア対応についても全部ゲームモデルに入ってくるべき 」とおっしゃっていました。具体的にプランを練ったり、さっそく実行に移していたりすることは?
「これはよく話していることなんですが、『何を変えるか』ははっきりしていて、あとは『どう変えるか』。同じものを変えるにしても、しかるべき時にしかるべき場所でしかるべき人と変えるのが一番大事です。同じものを変えるにしても、その変えるプロセス次第で結果はまったく変わると思っています。例えば、僕が今いきなり『食事改革するぞ』って言い出しても、何のために帰って来たんだってなるじゃないですか。1年目からすべてを変えようとは思っていません。何を変えるかはわかっているので、あとはどう変えるかをこだわるだけです。
今の食事の話で言うと、ボアビスタもそうで向こうのクラブではよくあるんですが、『これを食べろ、あれを食べろ』と指示するんじゃなくて、『クラブハウスで食べたら無料だよ』と、選手たちが進んで良い食事を摂るように誘導するような環境を作るとか。そうしたら、下部組織の選手たちなんかは自分から喜んで(食べに)来る。あれを食べるな、これを食べるなだとストレスになってしまったりするんですけど、そうじゃないので負担にもならない。食事の管理の面での『変える』を一つとっても、やり方はいろいろあるわけです。
その他では、アカデミーコーチの査定に関して『どこを評価してもらいたいか』を個別のコーチに聞いて、その基準に沿って査定することにしました。『結果で判断してほしい』と言うコーチは結果で評価しますし、『練習での指導内容を見てほしい』と言われたら指導内容で評価する。子供たちからの人気や親御さんとの関係性も評価してほしいというコーチには、そこも査定することにしました。アカデミーのコーチって、『10年後に有望な選手をたくさん輩出できたから、10年前の仕事を評価して給料を払います』っていうわけにはいきません。どう査定するのかが難しい。加えて、僕自身こうやって査定するのは初めてで、今はまだクラブの明確な基準がない段階でもあります。なので、今年はコーチそれぞれに評価してもらいたいポイントを聞いて、その部分で評価することにした、ということです。ただ僕の主観だけで査定するのではなく、お互い一対一で話し合って考えを聞いて、納得のいく評価基準を作ったうえで今年やっていただき、お互い理解を深めていく。
そういった、食事改革でもアカデミーのコーチの査定にしても他の部分にしても、どう変えるのかが大事です。
そして、それを見極めること。それが僕の1年目の最大の仕事です。1年目は僕が奈良クラブに適応する年だと思っているので、とにかくよーく見る。クラブのスタッフの方々がどういうふうに働いているかとか、選手がどういう生活をしているか、そういったことも含めてとにかくクラブそのものもそれを取り巻く環境も個人個人もしっかりと見て、見極めようとしているところです」
――なるほど。
「僕がやらなければいけないのは、監督、コーチ、選手、事務所のスタッフのみなさんがもっともっと心地良く仕事ができるよう、環境を整えてあげること。他の人とちょっと違ったアイディアを持ってはいるかもしれませんが、とはいえ僕は魔法使いではありませんし、奈良クラブに一人で革命を起こしに来たわけでもありません。特別なことは何もしていないんです。とにかく普通のことを普通にやる、地味なことをコツコツとやっていく、それだけです」
サカつくRTWに感じた“学び”
正直、ナメてました。楽勝だろうと。そしたら…。
GMとしてもの凄く勉強になるなと
――そんなふうにGMとしてのスタートを切った林さんに今回、「サカつくRTW」を体験していただきました。「サカつくRTW」では総監督としてクラブを運営していきます。監督選びから選手のスカウト、さらにスタジアムの拡張などクラブの様々な部分に関わっていくというのは、林さんが今まさに奈良クラブで取り組まれていることですよね。実際にプレイしてみていかがでしたか?
「正直、今回のお話をいただいた時、最初に思ったのは『ナメるなよ』でした(笑)。僕は今、実際リアルでこういう仕事に取り組んでいるんですから。ゲームくらい余裕だ、できなきゃ話にならないぞと。
そもそも、奈良クラブの場合はJリーグに昇格するという長い長い戦いがあるのに、いきなりJ3から始められるなんてふざけるなと。さらに、いざJリーグモードを始めてみたら、何もしなくてもいきなり有名選手を1人、加入させることができるじゃないですか。なんだこのイージーゲームは、楽勝だ、実際はもっともっと大変なんだぞ、舐めるなよ、と。
そんなわけで、チュートリアルすら読まずに始めたんですが……これが僕の敗因の一つになります(苦笑)。
最初のJ3は何にもしなくてもゲームに従っていたらすぐに突破してJ2に昇格することができたんです。でも、J2に上がったとたん強敵ばかりで、何をどうやっても勝てなくなってしまって。慌てて補強とか強化をしてみたんですが、むしろ弱くなって危うくJ3に落ちそうになってしまった。あれあれ、おかしいぞと。ここでようやく、気づくわけです。『もしかして、これめちゃくちゃ奥が深いゲームなんじゃないか』と。そこでようやく、チュートリアルをしっかり読み込しましたよ」
――(笑)。どのあたりに奥深さを感じたんでしょうか?
「監督に戦術が設定されていて、監督に合った選手じゃないと活躍できないところだったりですかね。ゲームでここまで細かく追求しているとは。例えば、チームの監督がアラダイスだったとしたら、フェライーニみたいな選手を取ってくるのは大正解ですけど、ロペテギなのにフェライーニを取ってきても意味ないですよね。逆に、今いる選手に合わせて監督を選ぶということもあるわけです。この戦術が合うだろうからこの監督にしようと。
一方で、監督のスタイルに完璧に合った選手を片っ端からそろえたり、逆に選手に完璧に合った監督を連れてくるのは、それこそマンチェスター・シティくらいじゃないと難しい。大幅な“課金”が必要になるわけです(笑)ですから、その両方を俯瞰して、最適なバランスを見つけ出しながらクラブを作っていかないといけない。つまり、ベストなチームを作るんじゃなくて、どうやってベターなチームを作るかが大事になってくる。カテゴリーが上がったばかりの頃とかは特にそうですよね。これは、GMとしてもの凄く勉強になるなと。
実際にゲームで、『このチームでやっていこう』って考えている時に、スカウトを引いたらメッシが取れたりするわけです。今自分たちはカウンタースタイルでチームを作っていて、あと一人で最強のフォーメーションコンボが完成する。でも、メッシはポゼッションスタイル。チームに合わない。……でもメッシだよ!?どうしよう、一からチームを作り直す?いやでもここまでカウンタースタイルのチーム作ってきたのに……でもメッシだよ!……ってなる(笑)。
そういう時にどうしたかというと、最初のうちはベンチに置いておいて、後半途中からピッチに立たせるようにする。それで、少しずつチームをポゼッション型に入れ替えていく、みたいなことが必要になってくるわけです。ただ、そうしている間に今度はまた別の大物が手に入るとなって、どうしようって悩むんですが(笑)。
そんな感じで10数シーズンプレイしまして、なんとかJ1まで上がったもののJ2と行ったり来たりのエレベータークラブ状態。しかも、選手の獲得に躍起になり過ぎて、シーズンの最後に年俸が払えなくて主力選手を大量放出せざるを得なくなる、というのを何回かやっちゃって。GMとしての才能の限界を感じましたね(苦笑)」
――私の場合は「次にもっといい選手がくるかも」と思ってしまって、資金に余裕を持たせてしまいがちです。そのあたりは性格が出ますね(笑)。
「いざ『この選手が取れる』ってなると買っちゃうんですよね。今、奈良クラブのGMとしてそんなふうに選手を取ってくるのは難しいですから。『ファブリシオが買える』とか言われちゃうとつい(笑)」
――「サカつくRTW」内でのプレイスタイルは、実際に奈良クラブで描いているスタイルと同じものを採用しているんでしょうか?
「いえ、そんなことはないです。だって、プレイスタイルのためにサッカーをしているわけじゃないですから。あくまで勝つためです。ですから、その時どきで見極めて、ベターなチーム、“よりマシな”チームを作るようにしています。実際、ゲーム内の僕のチームは今、カウンターから中央突破への過渡期です。中央突破に適したいい選手が取れたので、先ほどお話したような形で転換を進めているところです。
ゲーム内のスカウトみたいに、なかなか欲しいタイプの選手が見つからなかったり、逆に予期せぬ選手から売り込みがあったりってことは現実のサッカークラブでも起こり得ることです。実際、僕がGMになってからもそれに近いことがありました。
なので本当にめちゃくちゃ勉強になりますし、先ほどお話した年俸超過の大失敗とかなんて『本当現実じゃなくてゲームで良かった』って。それくらい、リアルに作られているなって感心しました」
――では最後に、あらためてゲームを体験しての感想と、今回の記事を読んで「サカつくRTW」を始める方へのアドバイスをお願いします。
「リアルなクラブ運営とシンクロしている部分が多くて、本当に思ってたよりずっと奥が深いです。実際にGMをやっている僕が言うんですから間違いないです(笑)。なので、みなさんにもぜひプレイして、GMの気分を味わってもらいたいです。
アドバイスとしては、まず『チュートリアルをちゃんと読んで』と言いたいです。人の話を聞かないのが良くないのと同じで、細かく作られているゲームなので読まないと僕みたいに損をします(笑)。それから、『ベストなチームじゃなく、ベターなチームを作る』。プレイスタイルにこだわるんじゃなくて、その時その時でより良いチーム、よりマシなチームを作っていくのが大事なのかな、と。それを意識して挑戦してみてください!」
<商品情報>
商品名 :プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド
ジャンル:スポーツ育成シミュレーションゲーム
配信機種:iOS / Android
価 格 :基本無料(一部アイテム課金あり)
メーカー:セガゲームス
さらに詳しい情報を知りたい方は公式HPへアクセス!
http://sakatsuku-rtw.sega.com/
©SEGA All Rights Reserved By JFA
©2018 adidas Japan K.K. adidas, the 3-Bars logo and the 3-Stripes mark are trademarks of the adidas Group
The use of images and names of the football players in this game is under license from FIFPro Commercial Enterprises BV. FIFPro is a registered trademark of FIFPro Commercial Enterprises BV.
Profile
久保 佑一郎
1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。