SPECIAL

日本とどう違う?濱吉正則が教えるUEFA監督ライセンスの仕組み

2018.08.29

欧州の最高資格を持つ日本人コーチが解説


ロシアW杯での日本代表は、テクニカルスタッフ全員が日本人という陣容で3度目の16強進出を果たした。しかし、大会終了後には外国人監督か、日本人監督かの議論が巻き起こった。その解を探る手がかりとして、欧州と日本の指導者ライセンス制度の違いに着目。UEFA監督資格の最高ランクであるプロライセンスを取得している数少ない日本人指導者の濱吉正則氏に、UEFAの監督ライセンス制度の仕組みを解説してもらうとともに、日本のライセンス制度の課題について意見を聞いた。


UEFAライセンス制度の狙い

加盟国の国内ライセンスが、UEFAライセンスと連動しています


── 今回は、日本と欧州の監督ライセンスについてお話をうかがいます。まず、濱吉さんの持つUEFAプロライセンスとはどういうものなのか教えてください。

「UEFAライセンスはUEFA加盟国で監督をするのに必要な資格で、B、A、プロに加え、現在は育成年代とGKライセンスに分かれています。EUの発足に伴い、加盟各国で通用するライセンス制度としてUEFAライセンスが1997年にスタートしました。それ以前はヨーロッパ各国で取得したライセンスがあれば他の国で指導者をすることもできましたが、しかし統一した基準がなく国によっては認可が下りないケースがあったり、プロライセンスが1週間で取れてしまうような国があったので、取りやすい国で取るなどしっかり教育を受けていない指導者もいました。基準が明確ではなかったため、UEFAライセンスという形でヨーロッパサッカー連盟がすべてにおいての基準を設けたのです。

 僕がスロベニアに留学した1995年にはUEFAライセンス制度自体がまだできておらず、まずはスロベニアでプロライセンスを取りました。その後、スロベニアでも2002年にUEFAプロライセンスが認可されたので、翌03年にUEFAプロを取得しました。今では多くの国に広がり、インストラクターがいない国でもUEFAから派遣されたインストラクターの下で取得できるよう整備されています」


── 取得までのプロセスはどの国でも変わらないのでしょうか?

「国ごとに違いがあると思います。スロベニアの場合、Aライセンスまでは自国のライセンスと連動しています。UEFAプロライセンス取得に関してはスロベニアのプロライセンスを取得後、プロクラブで監督やコーチを経験することに加え筆記試験、口頭試験、指導実践、海外クラブでの研修、論文提出をすることで認定されます。僕は当時、日本に戻って来ていたので、柏レイソルU-18の監督や名古屋グランパストップチームコーチを務めながら、スロベニアと行き来をして取得条件をクリアしていきました。一方で、ドイツであれば『フースバル・レーラー』(国内プロライセンス)がそのままUEFAプロになります。とはいえ、国ごとのライセンスコースに大きな違いはなく、UEFAがそれぞれに実技や講義の最低時間数や内容を決めています」

ドイツの監督プロライセンス「フースバル・レーラー」の修了セレモニー。毎年狭き門をくぐり抜けた精鋭たちは、同時にUEFAプロの資格も得ることになる


── つまり、UEFAプロを持っていればどの国でも指導できるということでしょうか?

「そうです。加盟国の国内ライセンスが、そのままUEFAライセンスと連動しています。例えば、ドイツのAライセンスはUEFA Aに相当します。これに関しては他の国でも同じです。僕がオーストリアで監督をした時も取得していることが必須条件でしたし、ないと労働ビザも下りません。それくらい重要なものです。ちなみに、UEFAプロの正式名称はUEFA PRO COACHING DIPLOMAと言い、ライセンスというよりは学位に近いです。一度取得すれば一生消えることはありません。ただ、定められたUEFA主催の講習会を受講しなければライセンスは発給されません(講習はUEFA主催であればどこでも受ける事が可能)。また、監督をする場合には監督登録証が別に必要となります。こちらが(日本の)ライセンスのような仕組みになっています。更新制で、期間は国によって違っていてスロベニアは毎年、オーストリアは3年ごとでした」


── UEFAプロ取得の難易度は高いのでしょうか?

「UEFAプロライセンスコースは特に難しかったです。それだけにオーストリアでは『よく取れたな』と言われることが多かったです。講義内容が難しいのもさることながら、現地の言葉ですべて行うため、高いレベルの語学力が必要になります。他に、講習の受講生の順番待ちがあります。国によって違うのですが、枠には上限があります。また、これも国によって違いますが、受講の優先順位を決めるのにポイント制を採用しているところもあって、中には選手時代の経験や指導経験といった項目があります。そうなると、選手経験がなければ取得までに時間がかかってしまいます。逆に、Aライセンスまではある程度行けるかなと思います。日本人でもドイツでAまで取っている人は割といます。ただ、プロになるとなかなか難しい。加えて、経済的な問題もあります。例えば、ドイツだと受講料9000ユーロですから日本円で100万円以上かかります」


── 日本は50万円弱と聞きます。それと比べるとかなり高額ですね。

「取得するまでは現地に滞在しなければならないので、生活費もかかります。当時は国内ライセンスでしたから、まさかUEFAプロを取るとは思っていませんでしたが」


講習内容と方針

大枠の土台を作り、重要なのはアップデート


── 講習の内容はどういったものでしたか?

「留学1年目でスロベニア国内のCライセンスを取ったのですが、すべて現地語でしたから言葉の面で苦労しました。最初は教科書は丸暗記でした。また、プロになるとトレーニング学や解剖学、心理学、戦術論などの専門的な講義があり、しかも戦術論はボールゲーム全般を扱うものでしたから内容的にも難しかったです。僕は体育大出身で運動学の知識はあったので助かりましたが、予備知識がなかったらもっと難しかったと思います」


── 学問色の強い印象ですが、具体的にどういったことを学ぶのか、詳しく聞かせてもらえますか?

「Cライセンスの例を挙げると、技術をどう教えていくか、どう落とし込んでいくか、という項目があります。キックなら“足首を固定できているか”など10のチェックポイントがあって、それを基に選手を指導していきます。改善点を見つけるためにどこを見るべきか、観点を叩き込むためのものです。また、どんな選手をピックアップするのかも徹底的に教え込まれます。よく言われていたのが、『君が近代サッカーとこの先10年のサッカーの発展のことをわかっていなければ、時代遅れの選手を作ることになるぞ』ということ。近代サッカーのプレースタイルがどういう潮流にあるのか、そして近代のサッカー選手が目指すモデルはどういうものか。10年後を見据えて『近代サッカーをまず学べ』ということを口酸っぱく言い聞かされました」


── 学問的なアプローチから入るのですね。

「その点、日本とは前提となる概念が少し違うように思います。私が学んだのは、どういうプレーモデルのサッカーを志向し、そのためにはどんな選手が必要なのかということ。これが指導する際の大きな土台になります。それさえあれば、どんなサッカーがトレンドになろうとも、プレーモデルがどうなっているのかを把握するだけで対応できるからです。近代サッカー40数年の歴史を見てみても、そこから外れているチームはまずありません。プレースピードと共通理解が大事だというのは変わりませんからね。その土台に合わせて、講習で学んだことをアップデートしていきます。それはCであろうがBであろうが、もちろんプロであろうが変わらないのです」


── 学びはその土台を作るためにあるのですね。

「UEFAライセンスが導入されてから、自国のものを学ぶというだけでなく、様々な知見が国を越えて入ってくるようになったのが大きかったと感じます。僕がいた旧ユーゴ圏にはロシアをはじめ東ドイツ、特にライプツィヒ大学での研究や、ピリオダイゼーションの考え方がもともとありました。UEFAライセンス統一の際に言われていたのですが、西側(の指導論)は運動学的な観点に欠け、経験だけに頼った理論が見受けられた一方で、監督としても優秀だった研究者が理論と実践を重ねた理論の構築や、スポーツ科学の研究や運動学やトレーニング学に基づいた理論が東側の強みだったそうです。その後EUが東欧諸国に拡大していく中で、そういった情報が西側にも行き渡ったことが欧州サッカーの発展を加速させたと思います。もちろん、そういった流れ自体はずっと昔からあって、全部が変わったわけではありません。近代サッカーの潮流で言えば、74年W杯のリヌス・ミケルスに始まり、80年代終わりからアリ-ゴ・サッキのゾーンプレスと、クライフのドリームチームへ至りました。近年ではスペインのポゼッションの後、ドイツがスペイン的な要素をミックスしたのもそうでした。そうした一連の流れというのはすでにあった土台を、外の情報を採り入れながらアップデートしてきたものだと考えています」

74年W杯で準優勝だったオランダを率いたリヌス・ミケルス(右)。左が当時主将のヨハン・クライフ、中央はユリアナ元オランダ女王


──「アップデート」という言葉が出てきましたが、UEFAライセンスではそういった考え方が共有されているのでしょうか?

「私が思うのは、知識だけなら講習を終えた時が一番ではないでしょうか。でも、すべてを覚えていることは難しいですし、何年かすれば進化したり変わってくることも出てきます。ただ、概念をしっかり学んでおけば大枠は忘れません。だからアップデートしやすくなります。欧州でライセンスを取るには、そこが重要になってきます。僕は『近代サッカーはこういうものだ』というのを学ばせてもらったことがベースになっていますし、ベースがあるから『(このチームは)こういうふうにやっているんだ』というのが理解も発見もしやすいです。だからアップデートがそこまで難しくないのです。

 ライセンス取得時に『ライセンスの取得は、監督する資格を得たに過ぎない』と教えられました。資格で言えば僕はプレミアでも、リーガでも、ブンデスでも監督になることができます。ただ、監督資格を持っているからといって優秀な監督かどうかはわかりませんよね。日本では『S級を持っていたら凄い』と言われることもあるようですが、それは違うと思います。取得してからアップデートしていくことが大切なんです」


── アップデートが優秀な監督の条件になるわけですね。

「かつて成功した優秀な監督たちの多くは、日本の職人みたいな形でやっていたようです。サッキがオランダに出向きエルンスト・ハッペルのサッカーを研究してゾーンプレスを考案したと言われているように。それがUEFAライセンスによって、より多くの情報が行き届くようになりました。UEFAでは定期的に、各国のコーチングスクールを他国の指導者が視察に訪れるようにしているのですが、トレーニングを見るだけじゃなく『うちはこうやっている』ということも話します。すると、それまで情報が出ていなかったことがオープンになる。これが大きいのです」

ハンブルクを率い、83年にはブンデスリーガとチャンピオンズカップの2冠を達成したエルンスト・ハッペル


── 講習で学ぶ知識の土台だけでなく、情報を共有する土台もあるということですね。

「みんなオープンなんですよね。それが多くの指導者を成功に導いている要因だと思います。『自分のサッカーはこれでいい』と歩みを止めてしまったら明日の仕事はない、というくらいの競争があるので、みんな貪欲です。ホッフェンハイムにナーゲルスマンの練習を見に行った時、話しかけたら普通に答えてくれました。中にはプレミアリーグみたいに閉じたところもありますし一概には言えないですが、日本人と比べてヨーロッパは直接的なオープンな会話を好むように思います。極端な話、欧州では隣のチームの指導者が練習を見に来ることもありましたから」


── そのナーゲルスマンのような若い監督が出てきているのも、そういった環境要因が関わっているのでしょうか?

「これは個人的な意見になるのですが、ナーゲルスマンがラングニックやトゥヘルらから影響を受けているように、メンターの存在が大きいと思います。もちろん、ドイツはライセンス講習の質も高いです。近代サッカーをどんどん変革させて、なおかつ“ドイツ化”しています。ただ、それだけの問題ではありません。ペップ・グアルディオラにしてもクライフだけではなくファン・マヌエル・リージョというメンターがいましたし、マルセロ・ビエルサやセサル・ルイス・メノッティら先達から学んでもいます。日本だとミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ)がいますよね。大分トリニータの片野坂知宏監督や日本代表兼U-21日本代表監督の森保一さんへと引き継がれていて、日本では(メンターとしての)成功例だと思います。

 私自身も大阪体育大学時代の恩師である祖母井氏(元ジェフ千葉GM)に『良い指導者になりたければ、良い指導者のかばん持ちをしなければいけないよ』とアドバイスを受け、スロベニアに渡りベルデニック氏とエルスナー氏の下に弟子入りしました。

 繰り返しになりますが、ライセンスはあくまでも免許です。そこからどうやって学んでいくかが難題なのです。トレーニングを金網越しに見る方法もあれば、優秀な指導者と一緒に仕事をする中で学ぶ方法もあります。いずれにせよ、良い指導者には良いメンターがいて、そこから自分のモデルを構築していくものだと思っています」

日本でのメンターの成功例として挙げられたミシャ現北海道コンサドーレ札幌監督


── 自らのメソッドをアップデートし続けるために、どの指導者も常にアンテナを張っているんですね。

「みんな外から触発されているのは間違いないですね。ローカルな街クラブの監督でも同じです。いろいろと情報を持っているし敏感です。普段は銀行で働いている育成指導者が、休みがあればドイツのワークショップに出向いて『行ってきたぞ、ハマ!』って詳しく話をしてくれたりするんです。

 もし、日本で同じように情報を共有しようとしたら『同じような選手ばかりになってしまう』と懸念されるかもしれないのですが、そうはなりません。共通概念ができるだけです。なぜなら、選手が違いますから。みんな同じようなスタイルでやっても、選手が違って指導者が違えばチームは変わってくる。だからライセンス講習の中で、協会がモデルの発信をしていくことが非常に大切になるんです」


日本のライセンス制度

情報のつまみ食いになっている。日本人は全体像を捉えるのがうまくない


── 現在は日本で指導をされていますので、日本のライセンス制度について目にしたり耳にしたりすることもあるのではないかと思います。その際、欧州のライセンス制度との違いを感じる部分はありますか?

「僕は日本でライセンスを取得していませんので、見ていないことについて話すことはできません。2005年から2年間ほどJFAのC・D級のインストラクターをしてはいましたが、その時と今とでは教則なども改定されていると聞いています。ただ、2年間オーストリアにいて感じたのは、欧州で感じたことと日本で感じていたものとは違うものだということです。様々な情報が主観的な表現になっているように思います。何となくは伝わりますが、あまり論理的ではないように感じます。『サッカーというのはどういうものか』という、近代サッカーの特徴を押さえることができていないように思います。オーストリアに渡る前も日本でアンテナを張り、ヨーロッパからの情報を積極的に入れる努力をしていました。しかし、昨年まで2年間、オーストリアで監督をやって、あらためて『欧州とはこんなに差が開いてしまったんだ』と実感しました。ここ5年くらいの欧州サッカー界の進歩する速度は異常です。日本にも情報が入ってきているように思えますし、そう思っている人も多いのですが、根本的な情報が入ってきているようには思えない。情報のつまみ食いになっているんです」


── 土台がないからつまみ食いになるのでしょうか?

「僕がスロベニアでライセンス講習を受けていた時は、『スロベニア代表のプレーモデルはこのように構築していく』という指導実践がありました。また、オーストリアの著名な監督から自身のプレーモデル構築に関わる練習についてのプレゼンテーションがありました。プレーモデルとトレーニングは繋がっていなければなりませんからね。スロベニアだけでなく、ドイツやオランダの講習会でもフース・ヒディンクやロナルド・クーマンらプロ監督がトレーニングを実際に見せることは少なくないです。僕が受けたライセンス講習でも、プレーモデルの指導案を作成し、そのプレーモデルを1週間でどのようにトレーニングをしていくか、実践する試験がありました。

 日本の場合、トレーニングの構築がつまみ食いになる光景が見受けられます。『誰々の練習だから凄い』『面白い斬新な練習だろ?』という話止まりで、(プレーモデルとトレーニングの間に)繋がりがないのです。確かに練習自体は面白いのですが、プレーのオートマティゼーションには反映されません。ボールを持ったらどこに出すのか、どこに動くのか、相手がボール持ったらどうするのか……そういった共通認識を持つことができない。

 また、僕はライセンス講習で『プレーの構造の全体から部分、部分から全体に戻さないといけない』と習いました。それになぞらえて言うと、日本人は部分を見るのはうまいですが、全体像を捉えるのがうまくないと思います。確かに、身体の向きなど細かい部分は大事です。ただ、もっと大きなところでサッカーを捉えていくことが大切だと思います。

 日本は世界の中でもお金をかけてサッカーを学んでいる国だと思います。いろいろな人たちが協会やJリーグのお金で欧州に行っています。最近は中国の人もよく目にしますが、それでも日本ほど多い国はありません。それでも足りないということは、学び方を改善していく必要があるように思います」

現オランダ代表監督のロナルド・クーマン


── 具体的にはどういった点でしょうか?

「僕が受講したUEFAプロの講習ではどのようにプレーモデルを構築していくかを学び、また講師がトップレベルでやっていることをまず見せてくれました。そしてディスカッションをする。そうやってチームを構築していく方法を学びます。

 なので、例えば曺(貴裁)さんが湘南ベルマーレのプレーモデルを見せたり、西野(朗)さんが日本代表のプレーモデルとトレーニングでの構築の仕方を見せたりする。こういうことができれば面白いと思います。

 これは一般的な教育の仕方とも関連しているかもしれせんが、欧州が加点法なのに対し日本の場合は減点法のように感じます。日本で行われているトレーニングはプレーモデルの構築的なアプローチが少ないように思います。トレーニングというのは本来、イメージを植えつける作業だと思うんですが、改善だけでは構築が難しくなるように思います。

 他にも、僕が受けたUEFAの講習会では受講生の良いところを引き出していくことが大事であり、指導経験を積んでいる受講生の新たなアイディアを尊重したい、と言っていて、減点法ではなく加点法で評価していました。できていない部分を見るというのはもちろん大事なことです。しゃべり方や立ち位置、振る舞い、しっかり論理的に伝えるといった最低限のことは必要です。教育・文化的な違いもありますが、選手育成の中でもプレーの指導に関わる自由な部分については加点法で育てていくことが大事になると考えられています。そこに繋がる部分である指導者の評価にも、日本との文化の違いを感じました」


── プレーモデルを作らなければならない、という話にも繋がってきますね。

「自国のモデルを構築することが大事かなと思います。代表監督が変わるたびにプレーモデルが変わって、トルシエさんの時はトルシエさん、オシムさんの時はオシムさんのサッカーになっている。もちろんアップデートは大事です。でも、その時どきの財産が残っていません。だから“日本化”ができていないんだと思います。

 フランスもスペインも、みんな育成からプレーモデルが同じです。そのモデルの中で、国のライセンス制度を積み上げているわけです。ドイツでも画一化されているくらい、他の考えが入る余地はありません。

 ライセンスの仕組みを整えたとしても、画一的なサッカーにはなりません。もしそうなるのであれば、アイスランドのようなプレーモデルの国が躍進するなんてあり得ません。それどころか、UEFAライセンス制度のおかげで35万人の国で4人に1人がライセンスを持ち、ああいった自国なりのプレーモデルができ上がっているんだと思います」


── 確かに、UEFAライセンスという連盟統一の制度がありながら台頭してきたアイスランドは好例ですね。

「やはり自国で指導者をしっかり育てて、自国のプレーモデルを構築してきた成果です。しかも、日々アップデートしながら作り上げていかなければならないのです。大事なのは、確かな土台の上に自分たちのスタイルを築いていくこと。拠りどころとなる概念がしっかりしていないと、アップデートしていくことはできません。そこが今、日本と欧州との最も大きな違いなのかなとは思います。あるいは、優秀な指導者をメンターとして迎えモデルを作るのも一つの手ではないでしょうか」

Masanori HAMAYOSHI
濱吉正則

1971年7月5日生まれ。47歳。UEFAプロライセンスを保有。現役時代の最後はスロベニアでプレーし、そのままリュブリアナ体育大学で学ぶ。同時に95-99までスロベニアのクラブチームでアシスタントコーチやアンダー世代の監督を歴任。帰国後は柏、名古屋、徳島、大宮などのコーチやスカウトを務める。16年にSVホルンの監督に就任。日本人初の欧州プロリーグ監督として注目された。2018年2月から九州産業大学サッカー部監督。


Photos: Getty Images, Bongarts/Getty Images

footballista MEMBERSHIP

TAG

UEFAライセンス濱吉正則監督

Profile

竹内 達也

元地方紙のゲキサカ記者。大分県豊後高田市出身。主に日本代表、Jリーグ、育成年代の大会を取材しています。関心分野はVARを中心とした競技規則と日向坂46。欧州サッカーではFulham FC推し。かつて書いていた仏教アイドルについての記事を超えられるようなインパクトのある成果を出すべく精進いたします。『2050年W杯 日本代表優勝プラン』編集。Twitter:@thetheteatea

関連記事

RANKING

関連記事