4年に一度の祭典、W杯の楽しみ方の一つに、まだ見ぬタレントとの出会いがある。ロシア大会でも、多くの新星が脚光を浴びた。その中でも、特大のインパクトを残した11人を厳選してお届け。その鮮烈なプレーを今一度思い出すとともに、開幕した18-19クラブシーンでの彼らのさらなる飛躍にも注目してほしい。
スリー・ライオンズの新たな門番
ENGLAND|GK1
Jordan PICKFORD
ジョーダン・ピックフォード
1994.3.7(24歳) 185cm / 77kg
エバートン(ENG)
イングランド4強進出の立役者だ。特に準々決勝スウェーデン戦は、後半に3度のビッグセーブでチームの危機を救い、マン・オブ・ザ・マッチに輝いた彼の存在がなければ負けていたかもしれない。W杯でクリーンシートを達成したイングランド代表の歴代最年少GKとなった彼はまだ24歳。持ち味の正確なキックに加えてシュートストップも際立った新守護神は、長くスリー・ライオンズの門番を務めていくことだろう。
抜擢に応え、本人も予想外の大活躍
FRANCE|DF2
Benjamin PAVARD
バンジャマン・パバール
1996.3.28(22歳) 186cm / 76kg
シュツットガルト(GER)
16-17はドイツ2部でプレーしていた(浅野拓磨とチームメイトだった)。大会前、本人は「数分くらい出られれば」という心持ちだったそうだが、開幕してみれば先発に抜擢され、優勝チームで不動の右SBに。ラウンド16のアルゼンチン戦ではスーパーボレーを決め、レ・ブルーを波に乗せた。その一撃をアシストした同じ22歳の左SBリュカ・エルナンデスとともに、若手の起用を恐れないデシャン監督の期待に応えてみせた。
驚異のスタミナで何度でもスプリント
PERU|DF17
Luis ADVÍNCULA
ルイス・アドビンクラ
1990.3.2(28歳) 178cm / 77kg
ラジョ・バジェカーノ(ESP)
パバール、ムニエ、トリッピアー、ブルサリコなど右SB(またはウイングバック)が豊作だった今大会にあって、南米勢で地味ながらインパクトを残したのが、前方のカリージョとともにペルーの右サイドに迫力をもたらしたアドビンクラだった。スプリントを繰り返すスタミナに裏打ちされたプレーが光り、スピーディーで力強いオーバーラップだけでなく、守備も粘り強かった。今大会の大きな掘り出し物と言っていいだろう。
攻守に効く“ネクスト・カンテ”
URUGUAY|MF14
Lucas TORREIRA
ルーカス・トレイラ
1996.2.11(22歳) 168cm / 63kg
アーセナル(ENG)
小柄ながら、優れた予測や危機察知能力でアンカーの位置から相手の攻撃の芽を摘み取っていく姿が印象的だった。球際ではウルグアイ人らしくハードなチャージや勇敢なブロックを見せる一方で、的確な散らしや縦へのパス、プレースキックなど技術の高さも垣間見せた。新シーズンからアーセナルに加入。サイズ的には決して“プレミア仕様”とは言えないが、カンテのような活躍ぶりを期待したい。
タレント軍団の“次世代の星”
BELGIUM|MF17
Youri TIELEMANS
ユーリ・ティーレマンス
1997.5.7(21歳) 176cm / 72kg
モナコ(FRA)
ピッチに立った時間は決して長くなかったが、最盛期を迎えた黄金世代が主軸を張ったベルギー代表の中で“次世代の星”と言えるポテンシャルを示した。同じ司令塔のデ・ブルイネをはじめ、先輩たちにやや遠慮しながらプレーするきらいがあり、90分間フルで影響力を発揮するのはまだ難しかったが、巧みなボールの受け方やファーストタッチ、正確なキックの質は非凡なものを感じさせた。今後が楽しみな選手だ。
「ロシアの至宝」の看板に偽りなし
RUSSIA|MF17
Aleksandr GOLOVIN
アレクサンドル・ゴロビン
1996.5.30(22歳) 178cm / 69kg
モナコ(FRA)
「ロシアの至宝」という看板に偽りがないことを開幕戦でいきなり証明。正確なクロスで今大会の初ゴールをお膳立てすると、その後も巧みなキックを武器に直接FKを含む1ゴール2アシストでマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。技術やセンスだけでなく、走行距離やスプリント回数も大会を通じて高い数値をマーク。ホスト国の躍進をリードした22歳が、母国を離れて西欧のビッグクラブでプレーするのは時間の問題だ。
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