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バイエルン復調のカギはハインケスの“部活化”にあり

2018.02.20

カリスマで認めさせた厳格な規律に練習量増

 引退を撤回して帰還したハインケス就任以降、唯一の黒星となったボルシアMG戦を除きすべての試合に勝利。リーグでは2位に19ポイント差をつけて首位を独走し、DFBポカールでもRBライプツィヒ、ドルトムントら強豪を破って準決勝進出を果たし復調を遂げたバイエルン。

 そもそも抱える戦力は欧州トップクラスであり、アンチェロッティへの不満が蔓延していたチームの淀んだ雰囲気を一新しさえすれば、調子を取り戻すのは目に見えていた。

 とはいえ、時間厳守にロッカールームでのスマホ原則禁止、整理整頓、スタッフや従業員への挨拶の徹底など、チームに課した厳しい規律が機能したのは、12-13シーズンに3冠を達成したレジェンドの成せる業だろう。また、負荷が少な過ぎるとアンチェロッティ時代に不満が出ていた練習は60分から90分に増え、ケガ予防のために体幹トレーニングを週2回課している。

 さらに、選手とコーチングスタッフとの繋ぎ役だったラームの引退によりアンチェロッティが直面したコミュニケーションの問題についても、ドイツ語に加えてスペイン語を操るハインケスは選手と自ら、頻繁に会話しているという。「彼は選手への要求をハッキリと言う」と話すフンメルスをはじめ、オープンな態度が受け入れられている。

 戦術面で見ると、就任当初こそアンチェロッティ時代の[4-2-3-1]を引き継いだものの、その後は中盤の底にハビ・マルティネスを配置する[4-1-4-1]へとシステムを変更。近年はCBを主戦場としていたバスク人MFを“本職”起用することで守備を安定させたことがパフォーマンス向上の最大の要因だ。

 ただ、リーグでは首位を独走しているものの快勝した試合は少ない。対戦相手が仕掛けるバイエルン対策に苦しんでいるところを見ると、試合中に起きる問題に対し素早く反応して修正を加えるという部分には不安が残る。

 彼らにとって最大目標は国内タイトルではなく、現監督の下で12-13に制覇して以降、遠ざかっているCL優勝だ。GS第6節ではアンチェロッティ解任の引き金を引いたパリSGをミュンヘンで返り討ちにしたものの、相手はGS突破決定済みだった。CLレベルにまでチームを引き上げられるかが今後の焦点となる。


Photo: Getty Images

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バイエルンユップ・ハインケス

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山口 裕平

ドイツ・バイエルン州フランケン地方ニュルンベルク近郊在住のフリーライター。 Footballista、El Golazo、Sportiva、サッカーダイジェストなどで執筆中。 Twitterアカウント@nurnbergerpost

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