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スパレッティの“レジスタ重視”を体現するインテルの中央ユニット

2018.02.01

注目クラブのボランチ活用術:インテル


シャビ、シャビ・アロンソといった名手たちが欧州サッカーのトップレベルから去ったここ数年、中盤で華麗にゲームを動かすピッチ上の演出家は明らかに少なくなっている。では実際のところ、各クラブはボランチにどのような選手を起用し、どんな役割を求め、そしてどうチームのプレーモデルに組み込んでいるのか。ケーススタディから最新トレンドを読み解く。

 スパレッティ監督と下がり目のプレーメイカーといえば、思い出されるのがウディネーゼやローマ時代に重宝したダビド・ピサーロである。DFラインからパスを引き出し、低めの位置からゲームを組み立てていくプレーは、チーム全体を押し上げるショートカウンターの成立には欠かせないものだった。

 そしてインテルの監督に就任した今季、スパレッティは同じことをボルハ・バレーロを使って実現しようとしていた。確かに彼は低めの位置から長短のパスを織り交ぜたゲームメイクを得意としているが、プレスを受けた彼のボールロストが即ピンチとなるケースも増えた。したがって第8節ミラノダービーで彼をトップ下に上げ、ボランチにはガリアルディーニを起用。その大一番に勝利し、難敵ナポリ相手にもドローをもぎ取った。ボルハ・バレーロが3列目で起用されるケースもあるが、記事下図のユニット形成が基本形となっている。

 ともかく、インテルの組み立ての源泉は2ボランチ。戦術上、ガリアルディーニにもベシーノにも同様のタスクを課している。まずはDFライン前にポジションを取り、場合に応じてSBのカバーにも回りながらボール奪取を図る。そしてCBやSBからボールを引き出せる位置に動き、ショートパスを素早く繋いで攻撃を縦へと推進させる。縦に素早くということは、むろん狙えるところではミドルレンジのパスを繰り出すことも意味する。その際、一気に逆サイドの高い位置目がけてのサイドチェンジも、あるいはCFイカルディを裏に走らせる形も選択肢に入ってくる。

 攻撃の際はボランチをDFラインまで下げることはせず、中盤に留まらせる(CBのフォローにはSBが1枚残る)。むしろボールサイドにいない一方のボランチは敵ゴール前まで飛び出せる高いポジショニングを取ることを許している。現状では運動量とスピードを兼備するベシーノが積極的な攻撃参加を図り、局面の打開に関与するシーンが多い。ゆえにガリアルディーニ、あるいはボルハ・バレーロがレジスタ役だ。インテルはここ数年、ボランチを3列目にきちんと鎮座させ、パス回しを円滑にすることができていなかった。スパレッティ監督がレジスタのタスクを整備したことも、再生の一因になっている。


17-18 チームスタイル:ポゼッションとカウンターの併用

完全な攻守分業というよりは中央エリアを2人で担当すると言った方が正確か。中央に侵入した敵ボールホルダーは距離を縮めて挟み込む。前線への飛び出しはベシーノが行うことが多いが、ガリアルディーニも距離を開けずにフォローに行く。

Photo: Getty Images

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インテルボランチマティアス・ベシーノロベルト・ガリアルディーニ

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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