本誌「Game Labo」でもおなじみの大人気サッカーゲームアプリ「ポケサカ」で現在、マンチェスター・シティFCとのコラボレーションが開催中だ。そこで今回は、コラボを記念してゲーム内で掲載されている「マンチェスターCコラム」を特別に公開! 第5回のテーマは「サポーター」。同じ都市に居を構える世界的ビッグクラブには目もくれず、〝市民の青”へと忠誠を誓うその一途な愛情を感じてほしい。
マンチェスター・シティの通称は「シティズンズ」。クラブ名に「シティ」が付く場合にはありがちだが、地元に全国区の人気を誇るライバルがいるマンチェスターCには打ってつけだ。マンチェスターUという伝統の強豪にはなびかず、1990年代に入ってから2部リーグどころか3部降格まで経験したクラブを支援する12人目の「シティズンズ」たちは、「真のマンチェスター市民クラブ」の一員としてマンチェスターCサポーターであることに誇りを持っている。
彼らは、内容も結果もまったく芳しくなかった時代にも観戦に足を運んだ。イングランドの試合会場では、1990年代半ばに大きなバナナ形の風船を目にすることが多かったが、この奇妙な流行の火付け役はマンチェスターCファンだった。少なくとも国内ではそう理解されている。チームのパフォーマンスが淋しくても自分たちはチームのために盛り上がれる――そう主張するかのように、スタンドで黄色いバナナ風船を振り回しながら英語で言う「go bananas(気違い騒ぎ)」を地で行っていたのだった。
強者ではなく、あえて弱者に惚れた愛情は本物だ。悲哀も魅力の一部。ファンは歌詞に「夢も愛もなく、独りたたずんでいる」とある『ブルームーン』を、クラブのアンセムとして胸を張って合唱する。地元出身のロックバンド、オアシスの『ワンダーウォール』がヒットした1995年には、冴えないチームを率いるアラン・ボール新監督への期待を込めた替え歌『ワンダーボール』がファンの間でヒットした。
もっとも、クラブ自体はここ数年で強豪へと変身。ファンが「ホームではいつも勝てない。アウェイでも勝てない。先週も負け。今日も負け」と自虐的に声を上げる「迷チャント」はすっかり聞かれなくなった。金満クラブと化したマンチェスターCにはスター選手が当たり前。エティハド・スタジアムのVIP席には、義理の息子セルヒオ・アグエロを応援するべくディエゴ・マラドーナも姿を見せる。米国に拠点を移したデイビッド・ベッカムの「友人」トム・クルーズが、マンチェスターダービー観戦に訪れたこともある。映画界の大スターをマンチェスターCファンと呼ぶことはできないが、クラブの世界的ファンベースは過去数年間で5倍以上に膨れ上がったとされる。
だが、地元ファンの「シティズン」ぶりは変わっていない。勝てなかった昔も勝てるようになった今も、クラブへの愛情とともに彼らを突き動かすのがマンチェスターUへの対抗心。マンチェスターCがダービーを制して悲願のプレミアリーグ優勝に近付いた2011-12シーズンの第36節では、サポーターとして有名でオアシスのボーカリストだったリアム・ギャラガーが、試合後の記者会見場に姿を見せてマンチェスターC絶賛とマンチェスターU罵倒を披露している。
リアムの実兄でギタリストのノエルは、自身の名声をマンチェスターCサポーターとして痛快に利用する。オアシス好きを自認するギャリー・ネビルがサインを依頼したギターは、マンチェスターUの元DFへの皮肉たっぷりのメッセージと「M.C.F.C」の4文字(しかも計5カ所!)付きで返送された。ウェイン・ルーニーの奥方が夫の誕生日祝いにサインを依頼したギターには『ブルームーン』の歌詞。現マンチェスターUのエースへの“プレゼント”として、ギターの色までマンチェスターCのチームカラーであるスカイブルーに塗り替える力の入れ具合だった。
一般市民ファンも負けてはいない。宿敵のCLグループステージ敗退が決まった昨年12月には、「CL決勝ラウンド1回戦、ホームゲームのチケットを買いたい」とマンチェスターUのボックスオフィスに電話をするマンチェスターCファンのいたずらが、SNSと大衆紙で話題を呼んだ。クラブはグローバルな「シティズンズ」へと発展中だが、地元「シティズンズ」のスピリットは不変なのである。
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■『ポケサカ』 基本情報
商品名 育成サッカーゲーム~ポケットサッカークラブ~
価 格 基本プレイ無料
対応OS iOS 7.0以降/ Android 2.3以降/ Kindle Fire OS
配信元 NewsTech Inc.
Photo: Getty Images
Profile
山中 忍
1966年生まれ。青山学院大学卒。90年代からの西ロンドンが人生で最も長い定住の地。地元クラブのチェルシーをはじめ、イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』『ペップ・シティ』『バルサ・コンプレックス』など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。