本誌「Game Labo」でもおなじみの大人気サッカーゲームアプリ「ポケサカ」で現在、マンチェスター・シティFCとのコラボレーションが開催中だ。そこで今回は、コラボを記念してゲーム内で掲載されている「マンチェスターCコラム」を特別に公開! 第1回のテーマは「歴史」。ビッグクラブへの道を突き進む近年の歩みに注目している人でも、それ以前の逸話については知らない人も多いのではないか。これを読んで、マンチェスターCの魅力に触れてほしい。
マンチェスター・シティを応援するということは、ジェットコースターに乗っているようなものである――サポーターの間には、古くからこんな決まり文句がある。1880年、“市民”の若者が非行に走るのを防ぐために地元の教会によって創設されたクラブは、以降の135年間でそれほどに起伏が激しく、驚きに満ちた歴史を紡いできた。
今季のプレミアリーグでは前年王者チェルシーの大不振が話題になっているが、実際にイングランドで優勝した翌シーズンに降格してしまったのは1937-38シーズンのシティだけ。また、1957-58にはリーグ戦「104得点100失点」を記録(当時は1シーズン42試合)し、得失点いずれも3ケタでシーズンを終えた最初で最後のチームになったこともある。
プレミアリーグ創設後も、残留を懸けた1995-96のリーグ最終節でとんでもない失態を犯したことがあった。同点で迎えた試合終盤、ベンチに届いた他会場のスコアが実はデタラメで、それを信じた監督は「同点でOK」と勘違いして試合を進めたが、実際は勝利が必要だったのである。結局、誤報に気付いて攻撃に転じたものの時すでに遅く、前代未聞の大チョンボでチームは2部降格を喫した。
エルビス・プレスリーやフランク・シナトラが歌い継いできたジャズの名曲にして、スタジアムでシティのファンが合唱するアンセムでもある『Blue Moon』は、こうした“ジェットコースター級”の珍事を数々巻き起こしてきた刺激的なクラブにピッタリだ。英語には「once in a blue moon」という慣用句がある。その意味は「(青い月が出るくらい)極めて稀なこと」。この“珍しいブルームーン”は得てしてシティのファンにとって不幸のサインだった。しかし、時としてクラブをいい方向に導くこともある。それが2008年9月1日の出来事だ。
この夏の移籍市場最終日でもあったこの日、アブダビの王族に買収され一夜にして世界一のリッチクラブに変貌を遂げたシティは、その日のうちにブラジル代表FWロビーニョの獲得を発表。レアル・マドリーのスターを、しかも元祖金満クラブであるチェルシーを出し抜いて手に入れたことは世界中を驚かせた。
そのロビーニョは真価を発揮できず2シーズンでチームを去ったが、それは始まりに過ぎなかった。その後もクラブは莫大な資金を投じテベス、アデバヨール、ヤヤとコロのトゥーレ兄弟、ダビド・シルバなど一線級の選手を次々に獲得。2010-11シーズンにはマンチーニ監督の下、クラブ史上初のCL出場権獲得と35シーズンぶりのFAカップ優勝を成し遂げた。
さらにアグエロという真のスターを加えたチームは、翌2011-12シーズンにとうとう悲願を達成する。44年ぶりのリーグ制覇を決めた2012年5月13日も、やはり空には青い月が浮かんでいた。
宿敵マンチェスター・ユナイテッドと同勝ち点で迎えた最終節、シティは絶体絶命の危機に立たされた。時計の針が90分を差した時点で1点ビハインド。別会場では同じ街の“赤い太陽”のリードという、今度は正確な報告が入っており、同点でも優勝は不可能だった。だが、アディショナルタイムの5分間でジェコとアグエロが連続ゴールを叩き込み、エティハド・スタジアムは揺れに揺れた。どんな脚本家でもベタ過ぎて書かない奇跡の大逆転優勝劇を、彼らは現実に起こしてみせたのだ。
カネでスターを買い集める姿は批判の的になることもいまだに少なくない。だが、彼らの野心はプレミアリーグ優勝よりもずっと大きなところにある。大物選手を次々と引き抜く裏で、クラブは地元出身のスターを生み出すために世界一のトレーニング施設を完成させた。さらに、予測不能な青い月の魅力に取りつかれた熱狂的な地元サポーターのために、エティハド・スタジアムを増築。
それらはすべて、バルセロナのように生え抜きのスターがピッチに立ってヨーロッパの舞台でも勝ち続け、“市民”たちに未来永劫愛される真のビッグクラブを作り上げるためである。チャンピオンズリーグ決勝の夜にブルームーンがのぼり、フットボール界がブルーに塗り替わるまで、彼らの挑戦は決して終わらない。
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■『ポケサカ』 基本情報
商品名 育成サッカーゲーム~ポケットサッカークラブ~
価 格 基本プレイ無料
対応OS iOS 7.0以降/ Android 2.3以降/ Kindle Fire OS
配信元 NewsTech Inc.
Profile
寺沢 薫
1984年生まれ。『ワールドサッカーグラフィック』編集部を経て、2006年からスポーツコメンテイター西岡明彦が代表を務めるスポーツメディア専門集団『フットメディア』に所属。編集、翻訳をメインに『スポーツナビ』や『footballista』『Number』など各媒体に寄稿するかたわら、『J SPORTS』のプレミアリーグ中継製作にも携わった。