モナコの王様に君臨した23-24シーズンを経て、在籍3年目の今季も好発進。迎えた中国戦でも2ゴールで日本の大勝に貢献した29歳のアタッカーを、代表戦前のフランスで小川由紀子さんが取材した。
9月5日に行われた2026年W杯アジア最終予選の中国戦(○7-0)に先発フル出場した南野拓実は、52分と58分に立て続けにゴールを叩き込み、日本のリードを4点に広げた。
日本に旅立つ前、「最初の中国とバーレーンは、その次に続く試合を見ても、絶対に勝ち点6を取っておかないといけない状況。最初つまずくと難しくなる、というのは前にも経験している。なので、チームとしては勝ち点6を取ること」が必須目標であると話していた南野。
加えて「常にいいコンディションで、チームに貢献できるようにしたい」という個人としての目標も、この1戦目からしっかり形にしてみせた。
また、今回の予選では同じフランス・リーグ1で活躍する伊東純也(スタッド・ランス)が復帰し、約半年ぶりに一緒にピッチに立った。
「友人としてとてもうれしいです」
伊東の代表帰還について、そう笑顔で語っていた南野。
「(伊東は)日本の右サイドの脅威の一つというか、代表にとって一つの武器なので、今回また一緒のチームになれて心強いですね」
2戦目のバーレーン戦でも、2人の共闘にファンは期待していることだろう。
開幕戦で決勝点、監督から全幅の信頼も「もっとできたな」
所属するASモナコでも、南野は開幕戦から決勝ゴールという大活躍で、在籍3季目となる新シーズンの幕を開けている。
このサンテティエンヌ戦(○1-0)では、まずは21分に素晴らしい飛び出しからネットを揺らしたが、微妙な判定ながらVAR審査後にオフサイドで取り消しに。それから間もない28分、今度はGKの頭上を越える技ありのループシュート。こちらも一度はオフサイドで取り消されたが、VAR判定の結果ゴールが認められた。
栄えある24-25シーズンのモナコのゴール第1号、しかも決勝点でチームの白星に貢献、という喜ばしい結果ではあったが、南野は単純に喜んではいなかった。
この前半の得点シーン以外にも、何度もゴールに迫っていた。得点を決めたことより、むしろそれらを決め切れなかったことを悔やんでいるのでは?と聞かれると、「そうですね、そっちですね」と南野は即答した。……
Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。