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相手を嫌がらせる、デザインされた攻撃と守備が強さの秘訣。アモリム率いるスポルティングの論理性を紐解く

2024.04.21

2020-21シーズン以来となる国内リーグ制覇に近づいているスポルティング。強さの源の1つとなっているのが、2020年から指揮を執るルベン・アモリム監督が植え付けている戦術面だ。リバプールからの関心が報じられるなど手腕を高く評価されるポルトガル人指揮官が実践する戦術の特徴を明らかにする。

 第28節にベンフィカを下したことで、リーグ優勝の可能性が高まっているスポルティング。カップ戦でも決勝進出を果たしており、国内2冠に向けて邁進している。欧州の舞台ではCLでも同グループとなり4試合を戦ったアタランタに屈しEL16強で敗退となった。それでも勇猛果敢なスタイルで評価を上げる監督のルベン・アモリムの下には多くのビッグクラブからオファーが届いているに違いない。ちなみに1985年生まれである。若い。

優勝争いの天王山となったスポルティング対ベンフィカのハイライト動画

 スポルティングの配置は[3-4-2-1]が基本となっている。ボール保持ではウイングバックの位置を調整することで[3-2-5]と[3-4-3]を使い分け、ボール非保持では[5-4-1]にはならず[5-2-3]にこだわっている点が特徴と言えるだろう。全局面に対応する器用さを持ち合わせており、基本的にはボール保持が中心になる。加えて、ボール非保持からの速攻、カウンターでの破壊力を保つためにも[5-4-1]になるべくならないことを目指しているようだ。

中央レーンの選手を“解放”する可変システム

 ボール保持の特徴として、ビルドアップ隊とフィニッシャー隊の枚数調整を相手の内在的論理によって使い分けている点が挙げられる。相手が撤退すればウイングバックにウイングとしての役割をまっとうさせ、相手が前からボールを奪いにくる意思を見せるならば、SBとしての役割を担う。また、シャドーの選手がビルドアップをサポートするためにフィニッシャー隊からビルドアップ隊への移動を行うことで、ビルドアップにおける変数の設定も自由自在だ。……

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スポルティングルベン・アモリム

Profile

らいかーると

昭和生まれ平成育ちの浦和出身。サッカー戦術分析ブログ『サッカーの面白い戦術分析を心がけます』の主宰で、そのユニークな語り口から指導者にもかかわらず『footballista』や『フットボール批評』など様々な媒体で記事を寄稿するようになった人気ブロガー。書くことは非常に勉強になるので、「他の監督やコーチも参加してくれないかな」と心のどこかで願っている。好きなバンドは、マンチェスター出身のNew Order。 著書に『アナリシス・アイ サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます』(小学館)。

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