ジュビロ磐田の植村洋斗がすごい。大卒ルーキーとして2011シーズン以来、13年ぶりに開幕スタメンに名を並べるだけでなく、本職のボランチではない右サイドバックとして即時順応を果たし、開幕から3戦先発、攻守にフル稼働中だ。ニュースターとして歩み出した植村洋斗の“シンデレラ・ストーリー”を紹介したい。
J2アシストキング鈴木雄斗の後釜探しの結果
ジュビロ磐田にとって2011シーズン以来、13年ぶりの出来事だった。
昨季J1王者のヴィッセル神戸との開幕戦。早稲田大から加入した大卒ルーキー・植村洋斗が開幕スタメンを勝ち取った。そして第2節の川崎フロンターレ戦では、ジャーメイン良の4ゴールの口火を切るプロ初得点となる先制点をマーク。ここまで様々なチームトピックがある中で、3試合連続で先発している大卒ルーキーが大きなインパクトを残している。
しかも与えられたポジションは、本職のボランチではなく、右サイドバック。
なぜ彼は、いきなり本職でもないポジションで開幕スタメンを掴み、J1で輝きを解き放つことができているのか。その”シンデレラ・ストーリー”を紐解いていく。
磐田の右サイドバックは、今オフに昨季、J2で最多の10アシストをマークした鈴木雄斗が湘南ベルマーレに移籍し、補強ポイントだった。だが、チーム始動後すぐにその穴埋め候補の小川大貴とカマタマーレ讃岐から加入した川崎一輝がともに肉離れで負傷。キャンプ前には、本職と言えるのがジェフユナイテッド千葉から加入した西久保駿介のみという状況だった。
「右サイドバックは鈴木雄斗がいなくなって、本当に競争が待っている。そこのポジションをやってこなかった選手がやる可能性もあるかもしれない。誰が出てくるのかをしっかりと見極めたい」(横内昭展監督)
シーズン開幕前に語っていた指揮官が右サイドバックの候補として抜擢したのが植村だった。
チーム合流後、初めて右サイドバックをやっている姿を見たのは、キャンプ前の1月23日のゲーム形式の時だった。
「あいつギラギラしているよね」
植村のアピールする姿勢をキャンプ前の段階から評価していた横内昭展監督。年齢や実績を問わないフラットなチーム内競争を促す指揮官は、そこに割って入ろうとする大卒ルーキーの物怖じしない意欲の高さを高く評価していた。
昨季のルヴァンカップに出場した頃とは見違えた姿
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Profile
森 亮太
1990年生まれ、静岡県出身。主に静岡県で活動するフリーライター。18年からジュビロ磐田とアスルクラロ沼津の番記者としてサッカー専門新聞”エルゴラッソ”やサッカーダイジェストなど、各媒体へ記事を寄稿している。