2023-24シーズンの欧州サッカーで最も注目を集めているクラブの1つと言っても過言ではないレバークーゼン。シャビ・アロンソ監督に率いられ公式戦34戦無敗の進撃を続けるチームの戦術は、特に立ち位置の決定の面で他のチームとは異なる特徴を備えているという。特にボール保持局面におけるその特徴と強みについて、らいかーると氏が分析する。
結果はもちろん、サッカーの内容でも革命を起こしているかのようなレバークーゼン。シャビ・アロンソ監督の下で快進撃を続け、今季はポゼッションサッカーで公式戦無敗記録を打ち立てている。
サッカーの分析は4局面をそれぞれ行うことが定跡だが、今回はレバークーゼンの最大の特徴となっているボール保持局面について考えていきたい。
ボール保持中心主義
多くのチームで、それぞれの選手の立ち位置を決めることが一般的になっている。ピッチにバランス良く選手を配置する補助線として5レーンが利用されていることは衆知の事実だろう。ただ、バランスの良さはチームに安定感をもたらす一方で、なぜお前はそこにいるんだ?という変化を起こしにくい。よって、9人でバランスの取れた配置の良さを維持することで、1人の選手をフリーマンとしてチームのバグとして機能させる――安定と不安定の振り子のバランスをどちらにどのくらい傾けるかが現在サッカーの肝となりつつある。
そんな流れとは少し異なる潮流を作り始めているチーム、それがレバークーゼンだ。それぞれの選手の立ち位置を最初に決めることが配置中心主義だとすれば、レバークーゼンはボール保持者中心主義であり、ボール保持者の位置と相手の立ち位置をかなり意識した原則でチームが行動している。ポジショナルプレーの原則を通して見ると、レバークーゼンの配置バランスの悪さが目につくのではないだろうか。……
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らいかーると
昭和生まれ平成育ちの浦和出身。サッカー戦術分析ブログ『サッカーの面白い戦術分析を心がけます』の主宰で、そのユニークな語り口から指導者にもかかわらず『footballista』や『フットボール批評』など様々な媒体で記事を寄稿するようになった人気ブロガー。書くことは非常に勉強になるので、「他の監督やコーチも参加してくれないかな」と心のどこかで願っている。好きなバンドは、マンチェスター出身のNew Order。 著書に『アナリシス・アイ サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます』(小学館)。