「J1で対等に戦うには前から行くしかない」。久々にJ1へ“帰ってきた”東京ヴェルディを率いる城福浩監督が今季掲げるテーマは明確だ。引いて守るほうがむしろ勝率を下げる。リスクは承知で前からの守備をベースに戦う今年の「ネオ城福流」に、沖縄キャンプを実際に取材した池田タツ(MCタツ)が迫った。
こだわりの沖縄キャンプ
「相手のFWが日本人だろうが、外国籍選手だろうが関係ない。どんな特徴を持っていても恐れずにラインを上げてコンパクトを保つ。裏を取られたとしても守れるチームにしたい」(城福浩監督)
どうやら、今年の東京ヴェルディは“前のめり”で面白いことになりそうだ。
昨年プレーオフを制し、J1昇格を決めた東京ヴェルディは沖縄にて事前キャンプを行っていた。「温かいところで準備できればケガも減るし、J1(クラブ)とも練習試合ができる」(城福浩監督)という狙いからだ。
これが実現したのはJ1昇格で予算が増えたのも理由の1つだが、何より選手からのリクエストがあったからだという。プレーオフを経由しての昇格でのためキャンプ地選びは後発となり、空いているところを探すのに苦労したとも言うが、逆に言えば、こだわっての投資だったこともわかる。
そんな中で行われた八重瀬町でのトレーニングキャンプで目にしたのは、J1を戦うモチベーションをみなぎらせる選手たちの姿だった。ミニゲームを見ていても、まずとにかく切り替えが素早い。特に攻撃から守備への切り替えが早いのだが、何かが「切り替わる」というより、まるで攻撃がそのまま続いているかのようにボールロストの瞬間からシームレスにボールを奪いにいく。そうなると当然ボールを奪いに行く位置も高くなるわけで、「前からプレッシャーにいくところと、それに合わせたハイラインというのは昨年よりも出したい」と言う城福監督の狙いはミニゲームの中にもしっかりと現れていた。
やられる時も前のめり
東京ヴェルディは16年ぶりの昇格。かつてJリーグを席巻した名門クラブの復活だけに、キャンプ中には連日テレビ局からの取材も続いていた。マスメディアからの注目も確実に増している。
そうした期待を背負うシーズンの戦い方について、指揮官はこう語る。……
Profile
池田 タツ
1980年、ニューヨーク生まれ。株式会社スクワッド、株式会社フロムワンを経て2016年に独立する。スポーツの文字コンテンツの編集、ライティング、生放送番組のプロデュース、制作、司会もする。湘南ベルマーレの水谷尚人社長との共著に『たのしめてるか。2016フロントの戦い』がある。