今年の1月3日、水戸ホーリーホックの西村卓朗GMが自身のnoteに近年の移籍市場の流れに痛感することを書き連ねていた。その内容は、現役の選手たちに警鐘を鳴らすものであり、その上で、Jクラブが生き抜くために必要だと考える施策の数々だった。
水戸の強化担当者として近年の移籍市場の流れを肌感覚で知り尽くす西村GMに、改めてnoteに書き連ねた内容やJクラブの強化策を中心に語ってもらった。
近年は移籍市場に良い選手が多数残っている状況に
――今年の1月3日に公開されたご自身のnoteでは、水戸のことよりも、Jリーグ全体の強化の現状について書かれていました。このnoteを書かれた狙いを教えていただけますか?
「ここ数年、水戸の強化としてもフェーズが少しずつ変わってきました。私自身、水戸の強化部に就任して9回目のチーム編成になりましたけど、16年の就任当初はとにかく欲しい選手を獲得することができなかったんです。だからこそ、どうやって選手を獲得しやすくなるかを考え、様々な取り組みを行い、チームのブランディングを確立させていったことによって、徐々に獲得できるようになってきたんです。その中で以前はチーム編成のスタートで少し遅れたり、うまくいかなかったりしたら、市場にいい選手が残っていなかったんです。でも、ここ2年ぐらいは多少遅れても、いい選手が残っていることが多くなっており、まだアプローチができる状態になっている。つまり、それは水戸が選手を獲得しやすくなったということだけではないなということを考えていました。競争という観点において、選手の立場としては厳しい状況になってきたと言えます。いわゆる買い手市場になってきている。そういう感覚があったので、ああいう形で私が発信することによって、現状を選手に知ってもらおうと思いました」
――買い手市場になった要因は何だと思いますか?
「理由はいくつかあるんですけど、その一つとして挙げられるのが、各クラブがいかに移籍金収入を得るかについて真剣に考えるようになってきていること。移籍金を得ることを考えた場合、選手をレンタルより完全で獲得した方がいいですし、移籍金の発生しないフリーの選手をうまく獲得することを考えるようになる。監督だけが求める選手を獲得するよりも、強化サイドがその年の編成だけでなく、ビジネス面などいろんなことを考えるようになって選手を獲得するようになったことが要因になっていると考えています」
高い年俸で活躍できない場合、次の選択肢が限られてしまう
――「選手が溢れ出した」という表現もそこにつながるのでしょうか?……