現在発売中のフットボリスタ99号では「現代サッカーの核心、ビルドアップ大研究」と題して、欧州5大リーグから、ビルドアップ構造に注目のチームを中心に、23‒24シーズン最新の様々な活用例を考察している。中でも多くのページを割いているのがマンチェスター・シティとブライトンだ。その両チームが激突した注目の一戦をエリース東京監督の山口遼氏に分析してもらった。
昨シーズンには悲願のビッグイヤーを獲得し、今シーズンは世代交代の真っ最中という趣のマンチェスター・シティに対して、世界最高峰のウィンガーへの階段を驚くべき速度で駆け上がっている三笘薫を擁するブライトンが挑むということで、特に日本国内では非常に注目を集める対戦となった。監督対決という意味でも、言わずと知れた名将ペップ・グアルディオラに新進気鋭のデ・ゼルビの独特なビルドアップ戦術がどこまで通用するのかも一つの焦点となった。
未完成の「アルバレス&フォーデンシステム」
先ほども述べたように、シティはやや高齢化する中盤のスカッドを踏まえて世代交代を図っている最中である。ギュンドアンの移籍やデ・ブルイネの長期離脱、新たに獲得した中盤選手の適応待ちなど、様々な要因も手伝ってか、今シーズンここまでのところシティの中盤の基軸はアルバレスとフォーデンとなっている。どちらも本職のインサイドハーフというわけではなくややアタッカー寄りのキャラクターではあるが、高いクオリティやユーティリティ性によって一定の機能性は見せていると言える。……
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Profile
山口 遼
1995年11月23日、茨城県つくば市出身。東京大学工学部化学システム工学科中退。鹿島アントラーズつくばJY、鹿島アントラーズユースを経て、東京大学ア式蹴球部へ。2020年シーズンから同部監督および東京ユナイテッドFCコーチを兼任。2022年シーズンはY.S.C.C.セカンド監督、2023年シーズンからはエリース東京FC監督を務める。twitter: @ryo14afd