第8節終了時点で勝ち点20を稼ぎ、プレミアリーグの首位に立ったトッテナム(第9節フルアム戦は現地10月23日に開催)。過去9年間の絶対的エース、ハリー・ケインが移籍したにもかかわらず、新監督アンジェ・ポステコグルーが既存戦力と新戦力を融合させた魅力的なチームを作り上げている。その好スタートの陰には、今年4月に退任した(はずの)前フットボールディレクターの貢献があったという。スパーズ・ジャパン(@SpursJapan)に内情を伝えてもらった。
アンジェ・ポステコグルー率いるトッテナムが、プレミアリーグで快進撃を見せている。昨シーズン8位のチームが開幕8戦6勝2分の好発進。ポステコグルーは8月、9月にリーグ月間最優秀監督賞を連続受賞するという、新任監督として史上初の快挙を成し遂げた。
ポステコグルーは横浜F・マリノスやセルティックでも「チーム再建」を担い、それを見事に成功させてきたが、いずれのクラブでも指導の成果を結実させるまでには一定の時間を要していた。ゆえに6月初旬の就任時には、スパーズファンも忍耐を強いられるシーズンになることを覚悟していたが、蓋を開けてみればうれしい誤算となっている。
若手を重用するのは「落とし穴を知らないから」
世界最難関のプレミアリーグで、前任者アントニオ・コンテ(今年3月の退任後はクリスティアン・ステッリーニ、ライアン・メイソンが暫定指揮)とはまったく異なる「ハイリスク・ハイリターン」のサッカーを採用しているにもかかわらず、就任早々スパーズを好転させた指揮官の手腕が高く評価されるのは当然として、見逃していけないのはチーム戦力が驚くほどにそのプレースタイルにフィットしたことだろう。
この夏に加入し、すでに先発メンバーとしての地位を確固たるものにしているGKグリエルモ・ビカーリオ、DFミッキー・ファン・デ・フェン、MFジェイムズ・マディソンの3人は、昨シーズンまでチームの中核を担っていたGKウーゴ・ロリス、DFエリック・ダイアー、そして(ポジションは違えど)バイエルンに移籍したFWハリー・ケインの後継者として申し分ない働きを見せている。
さらに夏の新戦力だけでなく、昨シーズンのコンテ体制では出番の少なかった選手たちが新体制下で台頭している。
攻撃的な右SBのペドロ・ポロはウイングバックを重用するコンテの下でもエメルソン・ロイヤルの控えだった選手。移籍1年目の昨シーズンはウディネーゼにレンタルで出されていた左のデスティニー・ウドギもプレミアリーグ初挑戦の20歳だ。この2人がポステコグルー流の偽SBとして攻守で活躍しているのは、スパーズファンにとっても大きな驚きだろう。特にウドギはすでにブカヨ・サカやモハメド・サラーといった実力者とのマッチアップで名を揚げ、10月のEURO2024予選マルタ戦でイタリア代表デビューも飾っている。……
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