10月7日に行われたフランス・リーグ1第8節、スタッド・ランス対モナコは、ランスの伊東純也、中村敬斗、そしてモナコの南野拓実がメンバー表に名を連ねる“日本人ダービー”に。その3日前に発表された10月の代表戦(13日カナダ戦、17日チュニジア戦)メンバーには、伊東&中村に加えて昨年のカタールW杯以来、約10カ月ぶりに南野も復帰を果たしたことで、サムライブルーの戦士3人がそろい踏みする一戦となった。
前節マルセイユ戦の前に内転筋を痛めて試合を欠場した南野は、この復帰戦もベンチスタート。61分に中村が退いた後の73分からアレクサンドル・ゴロビンに代わって登場したため、残念ながら3人が同時にピッチに並ぶことはなかったが、前半には中村が何度もゴールに迫り、伊東はいつもながら攻撃に守備に大奮闘。1-3とモナコがリードしていたタイミングで投入された南野もあわや追加点かというシーンを演出するなど、三人三様に見せ場を作った。
試合は、昨季スタッド・ランスで伊東と絶妙なコンビを形成し、今夏モナコ入りしたフォラリン・バログンの後半開始直後の2点目が効いて、モナコが1-3で勝ち点3を手にしたが、1ポイント差で3位につけていたランスが勝てば首位交代という「直接対決」を見届けようと、取材席にはリーグ1担当の重鎮記者たちの姿も。その中の一人は「日本代表の3人は、みんなそろってチームプレーに長けている。日本代表の強さの根底を見た気がする」と感嘆していた。
勝利したモナコは首位をキープ。パリ・サンジェルマンがスタートダッシュにつまずく中、1試合平均2.6ゴールとリーグ随一の得点力を発揮する彼らは、今季の優勝候補にも挙げられている。
再会したヒュッター監督の下、3ゴール3アシスト発進
そしてこの日は途中出場だった南野も、今季は開幕戦から先発に定着と好調だ。
第1節のクレルモン・フット戦(○2-4)では、ピンポイントのクロスでバンデルソンの先制点をアシスト。続くストラスブール戦(○3-0)は、自らボールを奪取してからの強烈ロングボレーとヘディングでゴールネットを揺らし、後半にはウィサム・ベン・イェデルの得点をお膳立てして2ゴール1アシストの大活躍。
第3節のナント戦(△3-3)では、2-0とリードを奪われた場面から反撃の狼煙(のろし)を上げる貴重な1点をマークし、第4節のRCランス戦(○3-0)でも1アシストを記録と、開幕からの4試合でモナコが挙げた13得点のうち6得点に絡み、8月のリーグ月間MVPにも選ばれた。
数字に反映されていないところでも、ゴールの起点になったり、高い位置でのボール奪取からシュートチャンスを作り出すといったプレーが際立っている。森保一監督が代表招集の理由に「非常に調子良くチームに貢献している」と語った通りの働きぶりだと言える。……
Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。