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開催国・中国を破り、いざ北朝鮮との決勝へ。快進撃の「日本女子代表」が得るメダルにはいつもと違う意味がある

2023.10.06

6日、アジア競技大会に参加中の日本女子代表は北朝鮮女子代表との決勝に臨む。女子ワールドカップ開催直後に行われた今大会、日本はそのメンバーが一人しかいない即席のセカンドチームを編成しての参加となった。前評判は決して良かったわけではないが、準決勝では海外組を含むフルメンバーをそろえていた開催国・中国を撃破。快進撃の要因と意味合いを、初戦からチームを追い続ける馬見新拓郎記者が解読する。

「なでしこジャパン」ではない女子代表

 中国の杭州市で行われている第19回アジア競技大会で、日本女子代表が優勝候補の中国女子代表を破って決勝進出を決めた。

 ここで言う日本女子代表は、池田太監督が指揮するなでしこジャパンとは別のチームだ。今大会のためだけに結成された、期間限定のセカンドチームと言ってもいい。

 アジア大会は女子インターナショナルマッチデーにカバーされておらず、海外組が多くを占めるようになったなでしこジャパンの主力選手を拘束する力がない。コロナ禍で開催が1年順延となり、女子ワールドカップのすぐ後に行われる日程となったこともあり、日本サッカー協会はなでしこジャパンのセカンドチームを送り込むことを決定したわけだ。

 「即席のチームであまり期待されてなかったと思う」

 決勝進出を決めた直後のミックスゾーンで千葉玲海菜が笑顔まじりにこぼした言葉だ。

 日本のメンバー構成を見ると、WEリーグチームでレギュラーとして活躍する選手もいれば、そこで控えに甘んじている選手、日米の大学女子サッカー部所属選手、JFAアカデミー福島=高校年代の選手など、多様なチームから選手が集められている。

 チームの活動開始段階では「顔は知ってるけど、お互いに『初めまして』という選手ばかり」と多くの選手が話していて、しかも中国に来て初日の練習でグラウンドが使えない状況となり、大会前に練習できたのは2回のみだった。

 だが、決勝進出を決めた即席チームの快進撃は、結果的に日本女子サッカーの選手層の厚さを証明する形となった。その内容は日本の狩野倫久監督(兼U-19日本女子代表監督)が「グループステージでの得点のバリエーションを見てもらってもわかる通り、非常に多彩なコンビネーションが生まれてきた」と自信を見せたとおりのもの。グループステージ3試合での23得点は、流れの中でコンビネーションを発揮して決めたファインゴールや、セットプレーからの得点、個の能力で奪った得点など多様性に富んだものだった。

 しかし正直に言ってしまえば、準々決勝で当たったフィリピン女子代表にも7-1で大勝したことが象徴するように、FIFAランキングでも下位に位置する対戦相手と日本の間には明白な実力差があった。順当な勝ち残りだったとも言えるだろう。

フィリピン戦のハイライト動画

 だが、準決勝の中国戦は事情がまるで違う。プレー強度も一気に増し、アウェイマッチならではの緊張感も重なり、チームの真価が問われる一戦だった。

開催国・中国を見事に撃破

 ホスト国の威信にかけて海外組を含めたフルメンバーで今大会に臨んでいる中国との90分は、壮絶なものだった。……

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Profile

馬見新 拓郎

1984年2月8日、鹿児島県阿久根市出身。フリーライター。携帯電話公式サッカーサイト『オーレ!ニッポン』編集部を経て、2005年からフリーに。以後、女子サッカーを中心に2011年女子W杯、2012年ロンドン五輪などを取材。『サッカーマガジン』『エル・ゴラッソ』等に寄稿。既刊本に『なでしこジャパン 壁をこえる奇跡の言葉128』(二見書房)。

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