2023-24のブンデスリーガで、王者バイエルン打倒の急先鋒となりそうな充実ぶりを披露しているのがレバークーゼンだ。昨季、トップリーグ初指揮かつ途中就任ながら見事にチームを立て直してみせたシャビ・アロンソが新シーズン、新たに実装した攻撃のメカニズムを詳らかにする。
ブンデスリーガ第4節終了時点で3勝1分無敗、アウェイでの王者バイエルン戦では貴重な勝ち点1を獲得。開幕8節を終えて17位と降格圏に沈んでいた昨季とは対照的な、素晴らしい形でスタートしたレバークーゼン。昨季、窮地のチームを救うべく到来したシャビ・アロンソ監督の就任以降に限ると、成績は13勝6分7敗でリーグ4位、48得点33失点はともにリーグ5位の数字だった。
アロンソが真っ先に着手したのが、守備の改善。これにより安定した[5-2-3]守備ブロックを築けるようになったのだが、一方で攻撃面では噛み合わないシーンが多々見られた。そうした中で迎えた2シーズン目、41歳のスペイン人監督は本格的な攻撃面の改善を実行。成果はさっそく現れ、4試合で13得点を記録している。
アロンソはどのようにチームを進化させようとしているのか。昨シーズンと比較しながら紐解いていく。
昨季整備した守備に今季は攻撃を上乗せ
昨季のチーム最大の特徴は、整然とした[5-2-3]守備ブロックであった。前線からDFラインまでが連動することで、穴のない守備組織を構築していた。
一方、今季の第1節RBライプツィヒ戦ではその守備ブロックだけでなく、前線から激しいプレッシングをかけることで主導権を握る戦いを披露。ウイングバック(WB)陣と左右のCBがチャレンジ&カバーの連係を的確に行うことができており、DFラインに穴が空きにくい。ボールを奪われた直後にも前線が激しくプレッシングをかけると同時に、両脇のCBエドモンド・タプソバとオディロン・コスヌが素早い出足で敵のウイングに前を向かせずに封じ込める。攻撃試行回数を増やすうえでも、この機能性は重要だ。また、セントラルハーフ(CH)のエセキエル・パラシオスはインターセプト数がリーグ3位となっており、彼の奪取からショートカウンターのチャンスを作り出すこともできている。
そして、今季のチームの特色と言えるのが丁寧なビルドアップだ。平均ポゼッション率は54%と数値はさほど高くないものの、1試合平均シュート数はバイエルンに次ぐ2位となっている。
彼らはロングボールや空中戦を好まない。ロングボール本数はリーグ最少、クロス本数も16位で、試行数が少ない空中戦勝利数もリーグ最少だ。逆に言えば、そういった飛び道具を用いなくても細かく丁寧なパス回しでボールを前進させてシュートまで持ち込むことができているということであり、昨季にはなかった新たなスタイルとなっている。
5大リーグ最多の中央攻撃比率を実現する仕組み
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Profile
とんとん
1993年生まれ、長野県在住。愛するクラブはボルシアMG。当時の監督ルシアン・ファブレのサッカーに魅了され戦術の奥深さの虜に。以降は海外の戦術文献を読み漁り知見を広げ、Twitter( @sabaku1132 )でアウトプット。最近開設した戦術分析ブログ~鳥の眼~では、ブンデスリーガや戦術的に強い特徴を持つチームを中心にマッチレビューや組織分析を行う、戦術分析ブロガー。