遠藤航、ドミニク・ソボスライ、ライアン・フラーフェンベルフとともに今夏、リバプールの中盤に加わった期待の新「背番号10」が、ブライトンから移籍したアレクシス・マカリステルだ。元アルゼンチン代表DFの父を持ち、3兄弟の兄2人も現在プロ選手としてロサリオ・セントラル(アルゼンチン)とユニオン・サン・ジロワーズ(ベルギー)でプレーするサッカー一家で育った24歳。W杯優勝の立役者となるまでに成長を遂げたMFの半生を、幼少期から息子たちに「何事においても日々向上することを意識するように」と伝え続けてきたという父カルロス・ハビエル・マカリステル(Carlos Javier Mac Allister)に振り返ってもらった。Chizuru de Garciaさんによるルポを前後編でお届けする。
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アルヘンティノスのトップチームで3兄弟が共演!
父であり、サッカー界の先輩でもあるカルロス・ハビエル・マカリステル(以下ハビエル)の助言を糧に、アレクシスは2人の兄とアルヘンティノス・ジュニオルスの下部組織で順調に成長。万能型MFとして中盤を仕切るだけでなく積極的にゴールを狙い、7軍(満16歳のカテゴリー)と6軍(同17歳)ではFW陣を差し置いてチームの得点王となった。その活躍により、2015年にはAFA(アルゼンチンサッカー協会)から新人賞を授与されている。
そしてチームが2部リーグを戦っていた2016年、3人全員が目標を達成した。2月に当時18歳だった次男ケビン、5月に20歳の長男フランシス、そして10月には17歳のアレクシスがトップチームでデビューしたのだ。それまでリザーブチームでプレーしていたアレクシスをトップチームに引き上げたのは、元アルゼンチン代表DFで当時のアルヘンティノスの監督を務めていたガブリエル・エインセだった。
息子たちが3人ともプロになり、しかもデビューを遂げたのが自分の古巣であるという夢のような展開だが、そこでハビエルが抱いたのは「感動」よりも「満足」の感覚だったという。
「満足などと言うと傲慢に聞こえるかもしれないので、そこだけを切り取って記事のタイトルにしないでもらいたいのですが、私はもともと感情に流される性格ではない上、“サッカー界の人間”として、いかなる状況も冷静に受け止める習慣がついているのです。サッカーではあらゆることが起きて当然ですからね」
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Profile
Chizuru de Garcia
1989年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。