5月29日にフアン・エスナイデルのレノファ山口・監督就任が発表されてから、約2カ月。ついに古巣・ジェフ千葉との「エスナイデル・ダービー」が実現した。このアルゼンチン人指揮官に並々ならぬ興味・関心を持ち続けていた西部謙司氏は、この試合をどう見たのか。
あのフアン・エスナイデル監督率いるチームとの対戦ということは、すっかり忘れていた。
そもそもレノファ山口でのエスナイデル監督は堅守のチームを作っているという噂。もうそれでは我々の知っているエスナイデルではない。きっと「ヱスナイデル」という別人に違いなく、そこまで関心を持てなかったということもあるが、相手の監督が誰かなどまったく気にならない試合展開だったのだ。
千葉は今季初の4ゴールでの快勝だった。
23分に風間宏矢が先制、33分ドゥドゥ、45分に鈴木大輔と前半だけで3-0。81分には日高大の美しいFKが決まって4-0。山口に付け入る隙を与えなかった。前節も首位の町田に3-1で勝利しており、小林慶行監督が目指してきたサッカーがここにきてようやく形になったということだろうか。
「スコアは4-0ですが、最初の15分間は相手の強度に押されていました。粘り強くその時間帯を抜け、先制点も取れて流れを持ってこられた。15分間をしのげたのが大きい」(千葉・小林監督)
【小林慶行監督の就任内定について】
2023シーズンからトップチームの監督に小林慶行氏が就任することが内定しましたのでお知らせいたします。
「このクラブに関わる全ての皆様の笑顔が何度も見られるように 全力で取り組んでいきます。」
詳細は?♀️https://t.co/IZrlpw2aTK#jefunited#小林慶行 pic.twitter.com/AsAeicR7AF
— ジェフユナイテッド市原・千葉(公式) (@jef_united) November 1, 2022
確かに最初の15分程度は山口がボールを保持して押し込む流れになっていて、最前線からのプレスではめ込んでくる山口の守り方は、エスナイデル監督のチームらしくもあった。ただ、観ている側としては小林監督が言うほどの危機感は感じなかった。山口の攻撃はクロスボールで終わっていて、ハイクロスに関しては佐々木翔悟と鈴木大輔のCBコンビが跳ね返せる。エスナイデル監督が率いていた時の千葉も、山ほどクロスを放り込んで無得点という試合があったものだ。……
Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。