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先発4人変更の積極策と試合中のビジョン転換。日本が「総合力」で16強へ【女子W杯コスタリカ戦】

2023.07.27

池田太監督が率いる日本代表(FIFAランキング11位)は726日、ニュージーランド・ダニーデンで行われた女子W杯のグループC2節でコスタリカ(同36位)と対戦。前半25分に猶本光、27分に藤野あおばが立て続けにゴールを奪うと、その後は優勢に時間を進めながら2-0で白星を収めた。他会場ではスペイン(同6位)がザンビア(同77位)を5-0で一蹴し、2連勝となった日本とスペインが決勝トーナメント進出を確定させている。

想定外にも臨機応変に

 前節スペイン戦(●3-0)の内容から守備的な戦いをしてくることが想定されたコスタリカだが、実際は違った。システムも5バックではなく[4-2-3-1]。メンバー発表の時点で読みにくかったのはDF登録の2番ガブリエラ・ギレンの立ち位置だったが、左サイドアタッカーのポジションを取り、左SBの12番マリア・エリソンドと縦並びになった。

 「相手がどういう形で来るかわからない状況で、最初にこれというのはなかったんですけど、試合の途中でベンチからも[4-2-3-1]という声があったり、その中で自分がどういうマッチアップなのか、攻撃の時にどこが空くのかというのをだいたい把握できた」

 そう語るのは3バックの右ストッパーで起用された三宅史織(INAC神戸レオネッサ)だ。三宅は「2試合目で負けたら意味がないので、トータルでいい試合というのをベースにしよう、緩みがないようにやっていこうとチーム全員で話していました」と振り返る。

 この試合、日本は4日前のザンビア戦から4人のメンバーを入れ替えてきた。石川璃音(三菱重工浦和レッズレディース)を三宅に、ボランチの長野風花(リバプール)を林穂之香(ウェストハム)に、左ウイングバックのMF遠藤純(エンジェル・シティ)を杉田妃和(ポートランド・ソーンズ)に。そしてザンビア戦2ゴールで「Player of the Match」に選ばれた宮澤ひなた(マイナビ仙台レディース)に代えて、猶本光(三菱重工浦和レッズレディース)が[3-4-2-1]の2列目同ポジションに配置された。

 大会2試合目で、コンディションだけを考えれば初戦と同じスタメンで臨むこともできたはず。しかし、池田太監督は4人を変更してもベースのレベルを維持できると信頼した上で、コスタリカに対してより有効なメンバーを送り出したということだ。「もっと相手が守備を固めてきた時に、ミドルシュートの打てる選手を入れるとか」という指揮官のコメントからも、コスタリカが守備的に引いてくる想定だったのだろう。

 実際は違ったわけだが、想定と違ったなら違ったで、臨機応変に振る舞えるのが現在のなでしこジャパンの強みと言える。ザンビア戦でも“ボールを奪う、ゴールを奪う”という基本コンセプトはあるものの、バーバラ・バンダという快速FWに一発で裏を取られないように、[4-5-1]のゾーンブロックで構えたところから縦パスをカットして、速い攻撃に持ち込んだことが5-0の勝利に繋がった。

 コスタリカ戦は引いた相手に対して中盤や最終ラインでボールを動かしながら、相手ディフェンスの手前からミドルシュートを狙ったり、セットプレーでこじ開けることもイメージしたスタメンだったと考えられる。だが、コスタリカがハイラインで日本のビルドアップにプレッシャーをかけてきたことで、試合中にビジョンを転換させた。しかも、それを個人の判断で終わらせず、チームとして共有することができ、タイムラグも少なかった。

チームの狙いが結果に表れた2ゴール

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コスタリカ女子代表なでしこジャパン女子女子W杯女子サッカー女子ワールドカップ日本女子代表池田太猶本光藤野あおば

Profile

河治 良幸

『エル・ゴラッソ』創刊に携わり日本代表を担当。Jリーグから欧州に代表戦まで、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。セガ『WCCF』選手カードを手がけ、後継の『FOOTISTA』ではJリーグ選手を担当。『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(小社刊)など著書多数。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才能”」に監修として参加。タグマにてサッカー専用サイト【KAWAJIうぉっち】を運営中。

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