9月に日本代表との“再戦”が決まったドイツ代表だが、失意のGS敗退に終わったカタールW杯後も復活の兆しすら見出せずにいる。今年に入り5試合を戦い1勝1分3敗。低調なパフォーマンスに終始している要因はどこにあるのか。悩める強豪の現状に迫る。
ドイツ代表がカタールW杯で早期敗退した際、ドイツ国内では競技面以外の影響が大きかったと分析されていた。ひと言で言えば、人権問題に気を取られたことが敗因だと。
例えば日本戦前日に選手ミーティングが開かれ、口に手を当てるジェスチャーをするかについて激論が交わされたことが明らかになった。彼らにとっては日本対策よりも、世論対策の方が重要な問題だったのである。
だが、もはや認めざるを得ないだろう。サッカーに集中できなかったから負けたのではなく、単に実力が劣っているから負けたのだと。
3月の親善試合ではペルーに2-0で勝ったものの、ベルギーには3-2で黒星。6月のFIFAウィークでは内容以上に結果が求められていた。『キッカー』誌が「まるで決勝戦のような雰囲気」と見出しをつけたように、公式戦に近い緊迫感が漂っていたのだ。
ところが、またしてもドイツはつまずいてしまう。6月12日にウクライナに3対3で引き分けると、16日のポーランド戦では圧倒的に攻めながらもCKから失点して敗戦。20日のコロンビア戦はいいところなく2-0で完敗してしまった。
これでW杯後の成績は1勝1分3敗――。チームの状態はカタールW杯の時よりも悪くなってしまったと言わざるを得ない。
『ビルト』紙が「ハンジ・フリックはドイツ代表監督を続けるべき?」という緊急アンケートを行ったところ、実に79%もの人々が「ノー」と回答した。
多くのメディアが「9月の日本とフランスとの親善試合がフリックにとってラストチャンスになる」と予想しており、すでにユルゲン・クロップやユリアン・ナーゲルスマンの名前が後任候補に挙がっている。
なぜ、ドイツ代表はこれほどまでに弱くなってしまったのだろう?
「3バックをできるチームではないことがよくわかったはずだ」
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Profile
木崎 伸也
1975年1月3日、東京都出身。 02年W杯後、オランダ・ドイツで活動し、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材した。現在は帰国し、Numberのほか、雑誌・新聞等に数多く寄稿している。