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シティの[3-2]ビルドアップで心臓を担うロドリとその相棒。偽SB4人の機能性を探る

2023.04.07

プレミアリーグ3連覇を目指すマンチェスター・シティが調子を上げてきた。今季は序盤から勝ち点の取りこぼしが目立っていたが、後半戦は直近公式戦11試合無敗では7連勝も達成。好調の要因の1つである、シーズン途中から採用した後方を[3-2]とする組み立ての形と、そこで輝く4人の偽SBの機能性についてサウスウェールズ大学に通う学生アナリストの白水優樹氏に解説してもらった。

 毎年のように様々な実験を行い、成功と失敗を繰り返しながらシーズン終盤には最適な形が定まってくるという流れが恒例となっているマンチェスター・シティですが、今季は両SBをサイドから中央に絞らせた[2-3]の形(CB2枚-ロドリ+両SB)でのビルドアップから、片方のSBをロドリの脇でプレーさせる[3-2]の形(CB2枚+片方のSB-ロドリ+片方のSB)へと落ち着いています。

 ジョアン・カンセロのバイエルン移籍に伴い、というよりもカンセロが移籍するきっかけにもなったように、これまでの「カンセロ+カイル・ウォーカー」というSBのコンビから、リコ・ルイスやネイザン・アケ、ジョン・ストーンズらがSBで存在感を発揮するようになり、シーズン後半では様々な組み合わせが試されています。

 今回はロドリとともにSBながらビルドアップ時には守備的MFとしてもプレーするリコ・ルイス、ジョン・ストーンズ、カイル・ウォーカー、ベルナルド・シルバの4選手の特徴について分析していきます。

波状攻撃を支えるロドリ+偽SBの仕組み

 初めにシティのボール保持時[3-2-5]のシステムの中で[2]を担うロドリとSBに求められる役割から整理していきましょう。

 自陣でのボール保持時は3人のCBと協力して相手FWのラインを超えていくことを目標とします。そのためロドリと相方のSBが相手FWの脇に立ちます。これにより、相手FWがCBへプレスをかければその背後でボールを受けることができ、それを警戒した相手FWはシティの2人の守備的MF(ロドリ+相方のSB)を監視するために中央を閉じます。その結果、3バック化したシティの両端のCBがサイドからドリブルで相手FWのラインを通過することができます。

 一方、シティのCBへのプレスに合わせて守備的MFまで相手MFが出てくる場合、シティのIH(インサイドハーフ)や降りてくるCFが相手の中盤ラインの背後でボールを引き出すことができるので、守備的MFがマークされボールに関わることはなくともその立ち位置によって前進に貢献できたと言えます。このことからロドリと相方のSBに求められる1つ目の役割は、相手FWの脇に立ち、相手を引きつけることで選択肢を作り出すことだといえます。

 次に自らボールを受け、相手のFWラインの背後でターンすることができた場合は運びながら相手MFを引きつけ、相手のポジションバランスを見ながら攻撃するサイドを選択することが求められます。この能力に関しては、4人(R.ルイス、ストーンズ、ウォーカー、B.シルバ)の中でもかなりばらつきがあります。

4-1で勝利したリバプール戦では後方からのビルドアップが効果的だった。写真は27分に同点弾を挙げたフリアン・アルバレス(右)

 シティのCBや守備的MFによる中央からの前進ではなく、大外のウイング(WG)や流れたIHへのパスで相手のFWラインを越えた場合、ボールサイドの守備的MFのサポートが重要になります。基本的に、WGがボールを持ったらIHがワンツーや背後へのランニングなどで相手の最終ラインを越えていくサポートをしますが、守備的MFには攻撃をやり直すためのサポートが求められます。ボールホルダーの斜め後ろあたりでパスを受けられるようなポジションを取り、サイドチェンジを駆使して一度、手詰まりになった攻撃を再展開できれば上出来です。……

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カイル・ウォーカージョン・ストーンズベルナルド・シルバマンチェスター・シティリコ・ルイスロドリ

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白水 優樹

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