斉藤光毅の3試合連続ゴールの活躍もありスパルタ・ロッテルダムはリーグ3連勝、順位も6位と躍進中だ。古豪クラブの快進撃を陰から支えているのが、クラブ在籍8年目のフィジカル・パフォーマンスコーチ、相良浩平だ。オランダ在住の中田徹氏が本人を直撃した。
1888年創設の古豪スパルタが初めて2部リーグに降格したのは02-03シーズン。以降、スパルタは1部リーグで11年、2部リーグで10年過ごすエレベータークラブになった。しかし、今季の彼らは25節を終えた時点で6位と絶好調だ。
斉藤光毅を支えたリハビリのピリオダイゼーション
光るのはコンディショニングの良さ。3月半ば、シーズン終盤戦を迎えてもスパルタに負傷離脱者はいない。ベストメンバーを組むことができるのはスパルタの強みだ。また、フィットしている選手ばかりなので、練習のレベルも必然と高くなる。こうしてマウリス・スタイン監督は、現有戦力のポテンシャルを最大限引き出すことに成功している。
好調スパルタのフィジカル&コンディショニングを支えるのが相良浩平だ。フィジオとしてFCユトレヒト・アカデミー、アイセルメール・フォーヘルス(アマチュアクラブ)で貴重な経験を積んだ相良は2015年にスパルタに入団。今は同クラブ・フィジカル部門の責任者を務めている(肩書きは『フィジカル・パフォーマンスコーチ』)。
斉藤光毅は1月24日のRKC戦の前半12分、ハムストリングを痛めて負傷退場した。当初の見込みは全治1カ月だったが、治療・リハビリ(「合流して即フルメニューは無理」リハビリのピリオダイゼーション)が順調に進み2試合を欠場しただけ。3週間後のゴー・アヘッド・イーグルス戦(◯2-1)で復帰して19分間プレーすると、翌アヤックス戦(●4-0)ではフル出場を果たした。
「ゴー・アヘッド・イーグルス戦の光毅は『最大30分間』という条件でベンチに入り、20分間プレーした。次のステップはアヤックス戦で60分間プレーすること。しかし、この試合はアヤックスが一方的に攻め込み、スパルタは終始守勢に回って光毅も走る場面が少なかった。だから出場時間は予定より延びましたが、走行距離のデータとしては60分間プレーしたのとあまり変わりませんでした」
こうした現場での見極めがうまくいき、斉藤は好調を維持。24節のエクセルシオール戦(◯1-4)、25節のフィテッセ戦(◯3-1)、26節のエメン戦(〇0-2)で3試合連続ゴールを決めた。
フィジオセラピストからフィジカル・パフォーマンスコーチへ
もともと相良はフィジオセラピストだった。しかし『サッカーに特化したピリオダイゼーション』の権化、レイモンド・フェルハイエンに師事してフィジカル&コンディショニングの分野を極め、今では世界中に広まった『サッカーのピリオダイゼーション』のインストラクターとして活躍。2010年から15年まで在籍したアイセルメール・フォーヘルス(アマチュア)では『フィジオセラピスト』の肩書きで負傷者ケアと並行し、コンディショニングも担当してピリオダイゼーションを実践した。……
Profile
中田 徹
メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。