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高丘離脱で守護神争い勃発のマリノス。オビの思い、白坂、田川、飯倉の逆襲はあるのか?

2023.02.14

開幕を直前に控えた2月4日、正GKの高丘陽平が海外クラブへの移籍準備のためにチームを離脱することが発表された。昨シーズンのJリーグ王者の横浜F・マリノスは、Jリーグベスト11に選ばれた男を欠く状態で開幕に臨むことになった。突如始まった守護神争い。スーパーカップで指名されたのは、オビ・パウエル・オビンナだった。

 移籍報道が出ても「僕から言えることは何もない」と言及を避けてきたが、海外挑戦への動きは水面下で続いていた。

 横浜F・マリノスから高丘陽平のチーム離脱が発表されたのは2月4日のこと。今季最初のタイトルマッチである富士フィルムスーパーカップ(以下、スーパーカップ)までちょうど1週間というタイミングだった。

 当然、今季のチーム編成はほぼ終了しており、新たなGKを獲得する予定はなかった。高丘は移籍報道が出た後も練習試合に出場しており、ケヴィン・マスカット監督ら首脳陣は今季も正GKに高丘を据えるつもりでチーム作りを進めていただろう。

 3年ぶりのリーグ優勝をもたらすとともに個人としてJリーグベストイレブンにも選ばれたGKが新シーズン開幕を目前にチームを離れ、マスカット監督も「離脱することがもう少し早くわかっていれば、他の3人を練習試合でもっと見ることができた」と悩ましい胸の内を明かした。

 高丘の海外移籍が濃厚となってから、フロントの動きは早かった。日頃からGK4人体制でないと成り立たない練習を組んでいることもあり、昨季限りでヴィッセル神戸を退団して無所属になっていたGK飯倉大樹を獲得。マリノスのプレースタイルを熟知し、経験も豊富なベテランを3年半ぶりに復帰させることとなった。

 とはいえ、合流したばかりの飯倉をすぐに先発起用するのは難しい。チームに残っているオビ・パウエル・オビンナ、白坂楓馬、田川知樹の3人の中から誰を先発起用するのかが、目前に迫ったスーパーカップに向けての注目ポイントの1つとなった。

第2GKとしてチームを支え続けたオビの献身

 そして、結論は2月10日に行われたスーパーカップの前日記者会見で明らかになる。

 マスカット監督は「明日に関しては、オビでいこうと思っている」と発言。続けて「彼は昨年からいい準備をしてきているし、プレシーズンでも強みを発揮していた」と述べ、大卒4年目の長身GKにゴールマウスを託す考えを示した。……

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Profile

舩木 渉

1994年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学スポーツ科学部卒業。大学1年次から取材・執筆を開始し、現在はフリーランスとして活動する。世界20カ国以上での取材を経験し、単なるスポーツにとどまらないサッカーの力を世間に伝えるべく、Jリーグや日本代表を中心に海外のマイナーリーグまで幅広くカバーする。

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