開幕を直前に控えた2月4日、正GKの高丘陽平が海外クラブへの移籍準備のためにチームを離脱することが発表された。昨シーズンのJリーグ王者の横浜F・マリノスは、Jリーグベスト11に選ばれた男を欠く状態で開幕に臨むことになった。突如始まった守護神争い。スーパーカップで指名されたのは、オビ・パウエル・オビンナだった。
移籍報道が出ても「僕から言えることは何もない」と言及を避けてきたが、海外挑戦への動きは水面下で続いていた。
横浜F・マリノスから高丘陽平のチーム離脱が発表されたのは2月4日のこと。今季最初のタイトルマッチである富士フィルムスーパーカップ(以下、スーパーカップ)までちょうど1週間というタイミングだった。
当然、今季のチーム編成はほぼ終了しており、新たなGKを獲得する予定はなかった。高丘は移籍報道が出た後も練習試合に出場しており、ケヴィン・マスカット監督ら首脳陣は今季も正GKに高丘を据えるつもりでチーム作りを進めていただろう。
3年ぶりのリーグ優勝をもたらすとともに個人としてJリーグベストイレブンにも選ばれたGKが新シーズン開幕を目前にチームを離れ、マスカット監督も「離脱することがもう少し早くわかっていれば、他の3人を練習試合でもっと見ることができた」と悩ましい胸の内を明かした。
高丘の海外移籍が濃厚となってから、フロントの動きは早かった。日頃からGK4人体制でないと成り立たない練習を組んでいることもあり、昨季限りでヴィッセル神戸を退団して無所属になっていたGK飯倉大樹を獲得。マリノスのプレースタイルを熟知し、経験も豊富なベテランを3年半ぶりに復帰させることとなった。
とはいえ、合流したばかりの飯倉をすぐに先発起用するのは難しい。チームに残っているオビ・パウエル・オビンナ、白坂楓馬、田川知樹の3人の中から誰を先発起用するのかが、目前に迫ったスーパーカップに向けての注目ポイントの1つとなった。
ヴィッセル神戸に所属していた #飯倉大樹 選手が、完全移籍加入することが決定しました。
?「まずは『ただいま』と挨拶をさせていただきます。約3年半の月日を経てまた僕は家族の元に帰ってくることができました」フルコメントは▶︎ https://t.co/rUPbegDtxB#fmarinos|#横浜信用金庫 pic.twitter.com/KcGKLTayog
— 横浜F・マリノス【公式】 (@prompt_fmarinos) February 9, 2023
第2GKとしてチームを支え続けたオビの献身
そして、結論は2月10日に行われたスーパーカップの前日記者会見で明らかになる。
マスカット監督は「明日に関しては、オビでいこうと思っている」と発言。続けて「彼は昨年からいい準備をしてきているし、プレシーズンでも強みを発揮していた」と述べ、大卒4年目の長身GKにゴールマウスを託す考えを示した。……
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舩木 渉
1994年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学スポーツ科学部卒業。大学1年次から取材・執筆を開始し、現在はフリーランスとして活動する。世界20カ国以上での取材を経験し、単なるスポーツにとどまらないサッカーの力を世間に伝えるべく、Jリーグや日本代表を中心に海外のマイナーリーグまで幅広くカバーする。