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「ガンバが好き」からの受講、そして社員採用――ガンバ大阪サッカービジネスアカデミーの魅力

2023.02.02

この記事は『ガンバ大阪』の提供でお届けします。

スポーツ界の将来を担うビジネス人材を育成することを目的として、2021年に開講された「ガンバ大阪サッカービジネスアカデミー」(以下、GBA)。豪華講師陣による講義、パナソニックスタジアム吹田を活用したグループワークなどを通じ、受講生は実践的なビジネスノウハウを学ぶことができる。国や地方の職員、大手企業や士業など、サッカー界の外から多様な社会人が参加し、二期終了時点で約60名の卒業生を送り出している。

本記事ではGBA第一期卒業生で、現在はガンバ大阪の社員として働く田中有沙氏、宮下誠氏にインタビューを実施。GBAへの応募理由、受講時の学び、修了後にガンバ大阪へ転職した経緯などについて話を聞いた。

実際にスタジアムでお客様と接する機会がある

―まずは自己紹介も兼ねて、GBA入学前のご経歴を教えてもらえますか?

田中「前職は、調査会社の営業として働いていました。企業の課題解決を目的とした消費者調査やインタビューの提案が主な業務です。(業務的には)スポーツとの関わりはなかったのですが、個人的に毎週ガンバの試合を楽しみにしていて、仕事のモチベーションにもなっていたんです。だから、コロナ禍で今後のキャリアを考える時間が増えた中で『スポーツビジネス』に魅力を感じるようになって。そんな時にタイミング良くGBAが開講される情報を知り、(選考に)応募したという経緯です」

宮下「私は旅行会社のエイチ・アイ・エス(以下、H.I.S.)に勤めていました。H.I.S.にはチームの遠征やファンの観戦ツアーなど、スポーツの旅行を専門的に扱う部門があります。2019年にはラ・リーガとスポンサー契約を締結して、会社としてサッカーとの関わりも強くなり、個人としてもサッカーの仕事に深く携わりたい想いがあったので、GBAに申し込みました」

――スポーツ業界への転職を視野に入れていた田中さんと、所属企業でのステップアップが目的だった宮下さん。受講を希望される方の動機は様々なのですね。

田中「(GBAの)書類選考では『仕事とサッカーの関わり』についての設問もあったので、スポーツビジネスの経験がない私が合格できるのか不安はありました。ただ、挑戦しないことには何も始まらないので、『好きなガンバで学びたい』と面接で伝えました」

――昨今、スポーツビジネスを学べる学校やセミナーは数多くあります。GBAを選んだ最大の理由は『ガンバ大阪』が主催していることが大きかったのでしょうか?

宮下「私たち一期生は、ほぼガンバのサポーターでしたね(笑)。あと、講義だけでなく、カリキュラムの後半に『実施企画グループワーク』という形で、実際にスタジアムでお客様と接する機会があることは決め手になりました」

――対外的には『実施企画グループワーク』でGBAの存在を認知した方も多いと思います。例えば、《新しいスタジアムでの観戦スタイル》として企画された、リアルタイム音声配信プラットフォーム「CHEERPHONE(チアホン)」は話題になりました。どのような経緯でこの企画は生まれたのでしょうか?

田中「私がガンバを好きになったのは、スタジアムに誘ってくれた先輩が、選手や試合について教えてくれたことが大きかったんです。スタジアムに来た時に、どんな情報を知ることができるか。それが次回以降の来場に影響すると思っていて。そんな私自身の経験を踏まえて、企画したのが『CHEERPHONE』(パナソニックが開発)を活用した音声解説サービスでした」

――解説をサポーター人気の高い岩下敬輔さんにオファーしたのは、絶妙なキャスティングでした。

田中「サッカーに関する解説はもちろんですが、『選手の人柄に関しても話してもらう』ことは重視したポイントの1つでした。だから、ガンバにも(対戦相手の)サガン鳥栖にも所属したことがある岩下さんが適任だろうとメンバーで議論して決めました」

――「CHEERPHONE」は集客を目的とした企画だったと聞きしましたが、その点における評価を教えてください。

田中「100人限定で販売したのですが、完売とはならず……。企画発表時はSNSの反応も良かったので期待していたのですが、実際に『売る』ことの難しさを痛感しました。観戦チケットとのセット販売だったので、席種を選べないことも影響したのかもしれません。利用者アンケートでは85%以上が『満足した』と回答いただいたのですが、課題もありましたし、反省点については、ガンバの社員さんとも話し合いました」

――今シーズンの『CHEERPHONE』企画も楽しみにしています。

田中「ありがとうございます。何か課題にぶつかった時は講義で米田(惠美/元Jリーグ理事)さんに言われた『課題は伸びしろ』という言葉を思い出すようにしているんです。今回の経験をふまえ、お客様からの声も参考にしつつ、次は今回以上に参加いただいた方の喜びや力になる企画にしたいと思っています」

スタジアムで「CHEERPHONE」を案内する田中さん

卒業後も継続する関係

――2月1日よりGBA第三期の募集が開始されました 。応募を検討される方への参考情報としてお聞きしますが、第一、二期生はどのような方が受講されていましたか?

宮下「世代的には20~60代と幅広く、職業もバラバラです。共通している点があるとすれば『探求心が強い』ということですね。講義では質問や意見がたくさん出るので、時間が足りない(笑)。だから、講義後にも受講生が集まって会話して、理解を深めるようなこともしていました」

田中「講義で時間が足りなくなった場合は、講師の方が別途質問に丁寧に答えて下さるので、とても助かりました」

フィールドワーク(オフライン講義)では受講生同士や講師とのディスカッションの時間が多く設けられている

――同じ志を持ったメンバーと過ごす1年間は、濃密な時間になりそうですね。

宮下「GBAで過ごす時間は楽しいだけではなく、大変なことも多いのは事実です。イベントを1つ企画、開催するにしても、想像以上に多くの人の協力が必要で、調整や準備すべきことが沢山あります。けど、だからこそ(イベント開催後は)達成感がありましたし、同期との絆が深まる。個人的にはGBAを受講した最大の成果は『人との繋がり』ですね」

――GBAの活動について紹介されている『note』 を読ませていただきました。GBA受講生は卒業後もOB/OG団体に所属する形で関係を継続されているとか。

宮下「GBAを卒業した元受講生は『GBA Collaborative Partners』(以下、GCP)というコミュニティに所属して交流を続けています。2022年の主な活動実績としては、北海道に遠征して、コンサドーレ札幌のスタッフの方とクラブ事業に関してディスカッションしました。千葉ロッテマリーンズや、パナソニックパンサーズなど、サッカー以外のスポーツ団体との交流も実施しました。今後もガンバに対するイベントの企画提案なども計画中です」

GCP北海道遠征の様子

――GCPがガンバ大阪に対してコンサルティング的な関わり方をするのは、興味深い関係性の発展です。

宮下「例えば、昨シーズン、2試合限定で提供したLINEサービス『ガンバフレンズ』は第二期生の企画で、今シーズンもGCPとして継続的な関わりを検討しています。主にサッカー観戦初心者の皆様をサポートするサービスなのですが、このサービスからのチケット売上が好調で、他のスポーツでも流用できるのではないかと、事業化も検討しています」

「推し選手診断」「スタンプラリー」など、スタジアムでの観戦体験がより楽しくなるコンテンツが充実

GBA修了、ガンバ大阪の社員へ

――GBAの特徴の1つが『卒業生の社員採用』です。“修了生社員”第1号である田中さんの入社経緯を教えてもらえますか?

田中「私はGBA卒業式後に履歴書を提出して『面接をして欲しい』と伝えました。実施企画グループワーク(CHEERPHONE)を通じて、ガンバ大阪で働くイメージを持てましたし、自分が『ファン・サポーターの方々が喜んでいる姿にやりがいを感じる』ことを知れた経験が(転職を希望した理由として)大きかったですね」

――クラブからのスカウトではなく、自ら売り込んだのですね。

田中「はい。待っていても難しいかなと(笑)」

――宮下さんの入社経緯も同じような形ですか?

宮下「私もGBA修了時はガンバ大阪で働きたい気持ちはあったのですが、実際に動き出したのは田中さんから(ガンバ大阪に)入社した旨の連絡を受けた後なんです。『えっ!?ヤバい!』と焦って、急いで私も働きたい意思をクラブに伝えました(笑)」

――お2人を含め、GBA卒業生からは5人のJリーグクラブスタッフを輩出しています。

田中「受講生の立場としては、ガンバの仕事内容や考え方を具体的に知ることができますし、相手(ガンバ大阪)に自分を知ってもらうこともできる。コロナ禍の受講だったので、対面でのコミュニケーションは限定される部分はありましたけど、入社前に社員さんやステークホルダーと繋がりを持てるのはGBAのメリットだと思います」

――では、入社後で業務内容などにギャップを感じることはなかったですか?

田中「そうですね。楽しみながら仕事させてもらっています。私はファンクラブに関する業務を担当していて、同じチームで働いている年下の2人にも優しく仕事を教えてもらえたので安心しました(笑)」

宮下「私もネガティブなギャップを感じることはないですね。入社直後から私の意見を親身に聞いていただいたり、採用されたり、すぐに考えが形になる環境はとても働きがいがあります」

――確かに、過去に実施したガンバ大阪社員さんへの取材でも、個人の想いが企画化されている事例が多い印象はあります。

宮下「他部署の方と話していても、それはガンバの特徴だと思います。トップダウンではなく、社員個人の考えを尊重してもらえますし、企画が実際に形になるまでのスピードも早いです」

――お2人はコロナ禍の2022年入社ということもあり、様々な規制がある中での業務に難しさを感じることはありませんでしたか?

田中「感染防止対策を行った上で何ができるのか。すごく試行錯誤しました。ただ、そういう規制があるからこそパナスタでの『アウェイ観戦イベント』など、新しい企画を実施できたので、考えることは楽しかったです」

宮下「難しさ以上に、ガンバ大阪が30年以上の歴史の中で築いた強みを感じることの方が多かったですね。私は『ガンバシスト』というホームタウンの課題解決や豊かな街づくりを目的とした協賛金を募る業務を担当しているのですが、地域の方々が既にガンバ大阪を知ってくださっている。クラブの活動実績を把握いただいた上で、お話させていただける関係性は凄いことだと思いました」

2022シーズンは195社の協賛を集めた「ガンバシスト」

――GBA修了生がクラブ社員として採用される流れは、今後も続く可能性があります。当事者としてその意義をどのように考えますか?

田中「GBAの受講生は『ガンバが好き』『スポーツビジネスを学びたい』という熱量が高い方が多い。『好きこそ物の上手なれ』と言いますが、そういうポジティブな気持ちで働く姿は周りにも影響すると思うので、そこが意義かなと思います」

宮下「田中さんと重なる部分もありますが、やはり『ガンバが好き』という部分は大きいと思います。今までは自分の仕事もあるので、ガンバに100%コミットできていた訳ではありませんでした。それがクラブ社員になることで、自分の業務がすべて好きなクラブに還元される。この喜びや達成感が社内に伝播すればいいなと」

――最後にGBA第三期への応募を検討されている方にメッセージをお願いします。

宮下「私自身、GBAを受講した1年後にガンバ大阪で働くことになるとは、想像もしていませんでした。キャリアの可能性を広げるという意味でもGBAで過ごす1年間は価値があるので、是非応募してください」

田中「講義で教えてもらえる情報はもちろん、様々な業界から集まってくる受講生同士の関係から得られる経験もあり、有意義な時間を過ごせると思います。私は受講して良かったと思っているので、読者の皆さんにも挑戦して欲しいです」

ARISA TANAKA
田中有沙(写真左)

(株)ガンバ大阪 顧客創造部 集客事業課ファンクラブ担当。愛媛県出身。大学卒業後に事務用品の法人営業やアパレル販売、市場調査の提案営業を経験。2022年からガンバ大阪へ入社し、ファンクラブ運営や年間パスの販売業務に従事

MAKOTO MIYASHITA
宮下誠

(株)ガンバ大阪 顧客創造部 ホームタウン推進課。埼玉県出身。大学卒業後に(株)エイチ・アイ・エスへ入社。7年間、手配業務や海外出張を経験。2022年からガンバ大阪へ入社し、ホームタウン推進課に所属。主に高槻市や摂津市の行政や地域の窓口を担当

新コース開設!ガンバ大阪サッカービジネスアカデミー(GBA)第三期 受講生募集

“学ぶ”だけでなく“実行”までをゴールとし、ガンバ大阪との共創によるリアルなサッカービジネスを体験できる「GBAアチーブメントコース」、“サッカービジネスを体系的にオンラインで学ぶ”ことができる「GBAオンライン聴講コース」の新コースを開設。募集期間は、2023/2/1(水)17:00 ~ /3/8(水)23:59まで。

募集概要はこちらをご確認ください。

Photos: (C) GAMBA OSAKA

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ガンバ大阪

Profile

玉利 剛一

1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。その後、筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。2019年よりフットボリスタ編集部所属。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆を行っている。サポーター目線をコンセプトとしたブログ「ロスタイムは7分です。」も運営。ツイッターID:@7additinaltime

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