元スペイン代表でヴィッセル神戸でもプレーした世界的ストライカー、ダビド・ビジャが現役引退後に設立したサッカーアカデミー『DV7サッカーアカデミー』。その日本校に来日したビジャとUEFA PROライセンスを持つ最高責任者のアレックス・ラレアに、日本サッカーの育成に携わって感じたスペイン視点での見解を聞いた。
2020年、ヴィッセル神戸在籍時に現役から退いた元スペイン代表FWダビド・ビジャは、現在『DV7サッカーアカデミー』を設立して地元スペインをはじめとして世界7カ国で展開している。現役引退の地である日本でも展開しており、引退直後の2020年に開講。2022年現在で東京圏を中心に8カ所を拠点に、未来のサッカー選手育成に励んでいる。
新たな才能を発掘して育成するために世界中を飛び回るビジャは、「サッカーで得られた幸せを今後は還元していきたい」という思いから選手の育成機関を開業。そして、「プロになる選手を輩出したい」と意気込んでいる。
「私たちの究極の目標は、できる限り多くのプロ選手を輩出することです。ただし、アカデミーに所属する大半は、プロにはなれません。プロの世界へと到達できる才能はわずかで、確率的にはとても低いのです。それを理解しているからこそ、私たちが関わる選手たちにはその期間に素晴らしい経験をしてもらいたいと思っています。私たちと携わったことで特別な経験をして、それが人としての成長につながるきっかけとなれるように努めています。加えて、その中からプロサッカー選手の夢を叶えるプレーヤーが出てくる未来を見据えています」
プロ選手を生み出すための環境整備にも力を入れており、世界中で展開するネットワークを生かした世界大会を開催したり、見出した才能を提携クラブUDジャネーラへのトライアウトへ参加させたりしている。また、日本校の最高指導責任者にはヨーロッパで最高位の指導資格であるUEFA PROライセンスを所有するアレックス・ラレアを派遣し、充実した指導環境を整えている。
さらに、ビジャも積極的に指導へ携わり世界を飛び回りながら所属する子どもらと一緒にプレーして、未来のプロ選手発掘に尽力している。日本も例外ではなく開講後すぐに来日を予定していたが、コロナ禍によって困難な状況に陥るというトラブルに見舞われた。しかしながら今年10月に来日を実現させ、スクール生らとともにボールを蹴りながら未来のプロ選手になり得る才能を発掘していた。その来日時に日本の育成環境における現状を聞いてみた。
戦術へのアプローチの違い、リーグ戦文化の欠如
ビジャは、スペインと日本の育成方法について、戦術へのアプローチが大きく異なるという。……
Profile
川原 宏樹
1977年生まれ、富山県出身。当時、日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、モバイルを中心としたメディアのコンテンツ制作を行うことでサッカー業界と関わり始める。その中で有名海外クラブとのビジネス立ち上げに関わるなど多くの新規事業を創出。その後はサッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心に多くのスポーツコンテンツに携わる。