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柏のエースから日本のエースへ。柏レイソル・細谷真大が描くのびやかな成長曲線

2022.12.16

2022年シーズンのJリーグベストヤングプレーヤーは、柏レイソルの細谷真大が受賞した。プロ3年目にしてレギュラーを掴んだ21歳は、1年を通じて好パフォーマンスを披露。チームトップの8ゴールを奪うと、念願の日本代表にも招集。2年後のパリ五輪でも主力としての活躍が期待されている。では、この逸材の覚醒にはどんな理由があったのだろうか。レイソルを一番近くで見つめてきた鈴木潤が、今シーズンの細谷を改めて解析する。

2022年のJリーグベストヤングプレーヤーを受賞

 細谷真大が2022年のJリーグベストヤングプレーヤーに輝いた。柏レイソルの選手の受賞は2011年の酒井宏樹、2017年の中山雄太につづく史上3人目である。細谷にとって、酒井と中山は柏アカデミー出身の先輩にあたる。その2人が現在カタールで開催中のFIFAワールドカップの日本代表に選出(後に中山は怪我で辞退)されたことを受けて、細谷は「自分も4年後は(ワールドカップ出場を)狙いたい」と見据える目標を公言した。

 それは非現実的な目標ではないだろう。細谷は2年後のパリ・オリンピックでは主軸としての活躍が期待されており、今年7月のE-1選手権ではA 代表に初招集された。今季のJ1リーグにおいても33試合に出場し、チームトップの8得点を記録した。柏の“若きエース”として大きな期待を背負う新進気鋭のストライカーだ。

 期待値はU-18時代から非常に高かった。高校3年のときには2種登録選手としてすでにトップチームデビューを果たし、天皇杯2回戦の岩手戦では高校生ながら初得点も挙げた。だがプロ加入後のルーキーイヤーは、オルンガ、クリスティアーノ、江坂任、瀬川祐輔、呉屋大翔といった攻撃陣に割って入ることができず、プロ2年目の翌2021年はリーグ戦28試合と出場数こそ伸ばしたものの、そのほとんどが途中出場であり、スタメンの座を奪い取るまでには至らなかった。

 そして今季も開幕前のFWの序列では、武藤雄樹と新戦力のドウグラスが2トップを組むことが有力視されていた。ところが開幕前には武藤が、開幕直後にはドウグラスが、それぞれ手術を要する怪我を負い、戦線離脱を余儀なくされる。柏にとって非常事態とも言える主力2トップの離脱。それを救ったのがプロ3年目を迎えた細谷だった。

チームの危機を救った21歳の台頭

 開幕戦の湘南ベルマーレ戦、第2節の横浜F・マリノス戦と、柏は2試合連続で数的優位のアドバンテージを得たこともあり、開幕2連勝という幸先の良いスタートを切った。湘南の大岩一貴、横浜FMの岩田智輝の退場は、いずれも推進力を持って前へ出て行こうとする細谷に対するファウルだった。一発退場を誘発したこのプレーについて、古賀太陽は以下のように見解を述べている。

 「対戦相手も真大の特徴を分かっていたと思いますけど、去年まで対戦していなかったので、そこまで多くのデータを持っていなかったと思います。でも、実際に対峙してみたら想像以上に真大にはスピードとパワーがあって抜け出されたため、結果的にファウルで止めるしかなかったんだと思います」

 しかも横浜FM戦の細谷は、貴重な同点ゴールを決めてチームを勢いづかせ、逆転勝利への足がかりを作った。当初は武藤の負傷離脱によって巡ってきた出場のチャンスだったかもしれないが、そのチャンスを逃さず、レギュラー定着へと結び付けたのは間違いなく彼自身の活躍だった。

J1第2節、横浜FM戦のハイライト動画。細谷の同点弾は1:36から

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J1リーグ柏レイソル細谷真大

Profile

鈴木 潤

2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。

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