いよいよ開幕! データで見る2022-23 WEリーグのサプライズ候補#2
創設2年目となる2022-23シーズンが開幕するWEリーグ。初代女王覇者神戸レオネッサが連覇を果たすのか、それとも新たな女王が誕生するのか。今回は2022年4月までノジマステラ神奈川相模原で分析兼エキップメントを務め女子サッカーとデータ分析に明るい松田佑也氏が、リーグ開幕に先がけて開催された2022-23WEリーグカップでのパフォーマンスを基に、台風の目となりそうな2チームをピックアップし紹介する。
2チーム目はジェフユナイテッド市原・千葉レディース。2021-22はリーグ戦4位、皇后杯で決勝進出。悲願のタイトル奪取を目指すチームの現状を、データを交えて紐解く。
DFラインの裏に侵入させない守備
WEリーグカップではグループBで日テレ・東京ヴェルディベレーザ、INAC神戸レオネッサに次ぐ3位という結果だったジェフユナイテッド市原・千葉レディース。同大会でのデータを見ると、1試合平均の守備回数は2番目の多さ。全4試合で対戦相手よりも多くの守備回数を記録している。
このグラフだけ見ると、守備に奔走するチームに思えるかもしれない。だが、ジェフの真の特徴は「守備時のゾーン被侵入割合」に表れている(ゾーンについての説明は#1 AC長野パルセイロ・レディースの記事を参照してほしい)。
赤色のゾーン1(DFラインの背後)に侵入された割合が20%を超えると「簡単に突破され過ぎた」というイメージなのだが、各試合の前後半別で見た時に20%を超えているのはベレーザ戦の前半のみ。その他はすべて20%を切り、サンフレッチェ広島レジーナ戦の前半に至っては脅威の0%。45分間を通じて一度もゾーン1へ相手を侵入させなかった試合があったのは、大会通じてジェフだけだった。
加えて、ゾーン1へ侵入された回数は全11チームの中で最少。ジェフは「DFラインの背後に侵入させないチーム」なのだ。
キャプテンで日本女子代表にも選出されたCB林香奈絵が、ケガにより長期離脱。チームにとって痛手となるのではないかと懸念されていた。だが、WEリーグカップで全試合に出場した石田菜々海が昨年に引き続き安定したパフォーマンスを披露。リーグに向けて大きな収穫となったのではないだろうか。
課題は「先制を許さない」こと
次に提示するのは、1試合平均の自陣守備回数と被ペナルティエリア(PA)内進入回数の散布図。……
Profile
松田 佑也
1998年生まれ。WEリーグ初年度の2022年4月まで、ノジマステラ神奈川相模原で分析兼エキップメントを担当していた。Twitter:@ura_view17