2021-22に最後までCL出場権を争い、2022-23は第9節を終えて2位。もはや“サプライズ”とは言えない充実ぶりを示しているフライブルク。名将クリスティアン・シュトライヒ率いるチームの戦術を、とんとん氏が分析する。
第9節を終えた2022-23のブンデスリーガ。ここまでの戦いで、バイエルンとドルトムントを抑えトップ2につける躍進を見せているクラブが2つある。
1つは原口元気の所属するウニオン・ベルリンだ。圧倒的な運動量とマンツーマンディフェンスを武器に首位に立っている。
そしてもう1チームが、堂安律の所属するフライブルクだ。できることが限られており、そこにリソースを集中することで勝ち点を重ねていく特化型のウニオン・ベルリンに対し、フライブルクはボールを繋ぐこともできる、より万能気味のタイプのチームである。
リーグ2位に立つフライブルクがどのようなサッカーを展開しているのか。また、その中で堂安律の現状のパフォーマンスと立ち位置はどうなっているのかを紐解いていく。
万能型を示すスタッツ
[4-2-3-1]を採用しており、スタイルは万能型。ロングボール、ショートパスとボール保持、高い位置にブロックを敷くプレッシング、低い位置でのブロック守備など、様々な形で試合を運んでいく。
フライブルクの目立つスタッツは以下の通りだ。順位は第9節終了時点のブンデスリーガ内のものとなる。
走行距離:3位
空中戦勝利数:1位
失点の少なさ:2位
シュート数:3位
セットプレー得点数:1位
得点数:7位
ボール支配率:11位
前線はマンツーマン気味にプレッシングをかけ、後方ではゾーンで守備を行う。豊富な運動量によって穴を覆い隠すことで失点を許さない。
CHのニコラス・ヘフラー、左SHのビンチェンツォ・グリフォを中心としたショートパスでの攻撃は、左右で別系統の形を見せる。加えてロングボールも積極的に使っており、GKマーク・フレッケンのロングボール本数はリーグ2位の多さだ。ターゲットとなるのは空中戦勝利数リーグ1位、193cmのミハエル・グレゴリッチュである。彼を中心に2列目が密集し、セカンドボールを回収して次の攻撃に繋げていく。
セットプレーも明らかにデザインされている。FKではファーサイドへの緩いボール、CKではショートコーナー、ニアサイドへのグラウンダーやファーへの逸らしなど、豊富なバリエーションでセットプレーからの得点数は堂々の1位となっている。
失点が少なくセットプレーで点を取る、いわゆる弱者のサッカーに思えるスタッツかもしれないが、シュート数の多さからもうかがえるようにゴールへの筋道を創造することにも成功している。
堂安をトリガーとした右サイドの連係攻撃
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Profile
とんとん
1993年生まれ、長野県在住。愛するクラブはボルシアMG。当時の監督ルシアン・ファブレのサッカーに魅了され戦術の奥深さの虜に。以降は海外の戦術文献を読み漁り知見を広げ、Twitter( @sabaku1132 )でアウトプット。最近開設した戦術分析ブログ~鳥の眼~では、ブンデスリーガや戦術的に強い特徴を持つチームを中心にマッチレビューや組織分析を行う、戦術分析ブロガー。