SPECIAL

ミドルサードの攻防でいかに優位性を築くか。【ユナイテッド 3-1 アーセナル】勝敗を分けたもの

2022.09.05

9月4日に行われたプレミアリーグ第6節の注目マッチ、マンチェスター・ユナイテッド対アーセナルは、35分にアントニーが先取し、同点後の66分と75分にはラッシュフォードがネットを揺らしたホームチームが3-1で勝利を収めた。彼らが開幕2連敗からの4連勝を果たすとともに、5連勝中のアーセナルに初黒星がついた一戦の戦術的ポイントを、グナ島(@gooner1031)さんが振り返る。

 今季5戦全勝でリーグ首位に立つアーセナル。獲得した即戦力たちがピタリとチームにフィットし、強者だらけの魔境プレミアリーグでこれ以上ないスタートダッシュを決めることができた。

 そんな絶好調のアーセナルが乗り込んだのは敵地オールドトラッフォード。マンチェスター・ユナイテッドは新指揮官テン・ハーフの下、開幕2連敗スタートと一時はどうなるかと思ったが、その後は一転して3連勝と息を吹き返しつつある。まだテン・ハーフが理想とするフットボールとはほど遠いのだろうが、それでもしぶとく勝ち点を奪えるユナイテッドと渡り合い、若きアーセナルは優勝戦線に殴り込みをかけられるのか、シーズン序盤に真価を試される一戦がやってきた。

 今季のアーセナルの躍進はまず、同じマンチェスターでもシティから加入したガブリエウ・ジェズスとジンチェンコの存在抜きには語れない。昨季はアンカーに入るトーマスの展開力と、右サイドにおけるウーデゴー、サカのコンビでのアタックが生命線だったが、今季はジンチェンコの起用で左サイドからのビルドアップも可能となり、チームのアタックの方向性が格段に増えた。そしてエースストライカーに君臨するジェズスは、低い位置に降りてきたかと思えば一瞬にしてゴール前にまで顔を出す豊富な運動量と、非保持時の献身的なプレスで貢献し、チームは対戦相手に息つく暇さえ与えない、ほぼ完璧なフットボールを展開できている。しかし、これもアーセナルらしいと言えるのか、次々と故障者が出てしまい、開幕5戦でトーマス、ジンチェンコ(今節復帰)の主力に加え、控えアンカーのエルネニーまでもが離脱と早くも試練が訪れた。

 戦前からこの試合のポイントはアーセナルよりもユナイテッドにあった。というのも、アーセナルは基本的に人が変わっても仕組み自体は大きく変わっていない。一方のユナイテッドは3連勝した第3〜5節の内容を見ても、獰猛なハイプレスを仕掛けた第3節リバプール戦(2-1)後はややプレスは鳴りを潜めており、回数は多くないが後方からのビルドアップにもチャレンジするようになってきている。

 ハイプレスを仕掛け、できるだけ敵陣深くでボールを奪い、手数の少ないスピード感あるアタックを仕掛けるのか。ミドルゾーンで構え、アーセナルのアタックを受け止める策を採るのか。ユナイテッドの出方次第で試合内容が大きく変わるだろうと筆者は考えていた。

マンチェスター・ユナイテッド対アーセナルのハイライト動画

ミドルゾーンからの縦に速いパスでフィニッシュへ

……

残り:2,408文字/全文:3,643文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

TAG

アーセナルマンチェスター・ユナイテッド

Profile

グナ島

1993年10月31日、生まれも育ちも茨城県。アーセナルについてTwitter(@gooner1031)で発信。いたって平凡な企業戦士サラリーマン。ケツメイシとダイアンをこよなく愛する。

関連記事

RANKING

関連記事