『アドレナリン』発売記念企画#4
7月29日に刊行した『アドレナリン ズラタン・イブラヒモビッチ自伝 40歳の俺が語る、もう一つの物語』は、ベストセラー『I AM ZLATAN』から10年の時を経て世に出されたイブラヒモビッチ2冊目の自伝だ。 訳者の沖山ナオミさんのおすすめエピソード紹介に続いて、ここからは異なる立場からこの本をどう見たのかを聞いてみた。
初回はミランサポーターのnato氏が登場。イブラが持つ「言霊」の力にフォーカスする。
<ご購入はこちら>
7月29日に発売されたイブラヒモビッチの自伝『アドレナリン』。皆さんはすでに読んだだろうか? これは前作『I AM ZLATAN』から10年ぶりとなる第2弾の自伝だそうだ。本書の帯にはこう書かれている。
”わかったぜ。認めるよ。俺は40歳だ。俺は神ではあるが、ちょいと老いぼれた神だ。”
絶対的な自信家であるイブラヒモビッチが自身を「老いぼれ」と評しているのが面白い。日々彼の発言を追ってきたミランサポーターである筆者が、本書を読んでどう思ったかを綴ろうと思う。
「アドレナリン」にピンときた
日本語には言霊という単語がある。意味を広辞苑で調べてみると「言葉に宿っている不思議な霊威。古代、その力が働いて言葉通りの事象がもたらされると信じられた」と書かれていた。
自分はイブラヒモビッチにはこの言霊の力があると普段から思っている。彼のインタビューの発言、SNSで発信する言葉の数々にその力があるし、読んでるだけで元気になれる。つまり、この『アドレナリン』は自分にとって言霊の塊なのだ。読めば元気になれるし、自分が大好きな選手の言葉が詰まった本なんて宝物そのものと言っていい。
普段からSNSで海外メディアによるミランの情報を訳して発信しているが、イブラヒモビッチが2020年にミランに復帰してからは、ほぼすべてのインタビューを訳してきたと思う。やはり彼の言葉は他の選手より訳していても読んでいても楽しい。SNSユーザーの反応も他の選手より圧倒的に多かった印象がある。自分はイブラヒモビッチの言葉が好きだし、それは多くの読者の皆さんにとっても同じなんだろうと勝手に思っている。
この『アドレナリン』という本書のタイトルは、近年のイブラヒモビッチが事あるごとに口にする言葉だ。ミランは新加入選手の獲得発表時に必ずクラブ公式チャンネルでインタビューを行い、即日に公開する儀式がある。
2020年にミランに復帰したイブラヒモビッチの第一声はこうだった。
「ロサンゼルスで最後の試合を終えた後にマルディーニから電話がかかってきた。それ以外の話もあり、オファーの数は俺が20歳の時より38歳の今の方が多かった。俺はすべての力を捧げることができるアドレナリンの最後のラッシュができるクラブを望んだ」
以降イブラヒモビッチとアドレナリンはセットのような関係になる。
「クソったれ!」なチームにやって来た異分子
イブラヒモビッチは普段からあまりメディアが好きではないようなことを言っていて、それは本書でも触れられているが、実際は割とメディアの取材に応じていて彼の声は定期的に公開されてきた。探せばいろんな“イブラ節”がネット上で簡単に見つかるだろう。
本書はエピローグを除く全10章で構成されており、各章に様々なエピソードが散りばめられている。このエピソードはすでに本人がインタビューで語っていたり、ニュースで報道されたものも多いが、そこでは知り得なかった裏話が満載で本書を読まなければわからないことがほとんどだった。……
Profile
nato
Twitterで主にミランの情報を発信(@nattou2017)。アカウントを通して6割以上のミランのニュース確認ができることを目標にしてます。