去る1月31日、マンチェスター・シティが“純粋な9番”フリアン・アルバレス(Julián Álvarez)の獲得を発表した。移籍金1400万ポンド(約22億円)で5年半の契約を結び、今年7月まではレンタルの形でリーベルプレートに残留する。身長170cmの類稀な点取り屋として、シティとアルゼンチン代表の先輩、セルヒオ・アグエロとも比較される22歳は、どんな魅力を持つ選手なのか。昨年アルゼンチン1部リーグ得点王、さらには南米年間最優秀選手に輝いた次代のスター候補について、現地からChizuru de Garciaさんが幼少期のコーチへの取材を交え、知られざるエピソードを伝えてくれた。
「彼は(ジェイミー・)バーディーのような動きからゴールを決めていた」
ペップ・グアルディオラは、半年後にマンチェスター・シティにやって来る新加入FWフリアン・アルバレス(リーベルプレート所属、22歳)について聞かれると、普段プレミアリーグしか見ることのない人でも瞬時にイメージできる、わかりやすい比喩を使って答えた。
アルバレスがグアルディオラの言う「バーディーのような動き」から得点をマークしたのは、2月16日に行われたアルゼンチン1部リーグ第2節リーベルプレート対パトロナート(○4-1)でのこと。相手DF の裏を突いてゴール前に飛び出し、素早く正確なシュートで三たびネットを揺らしてハットトリックを達成したのだ。この試合でリーベルの勝利に貢献し、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたアルバレスは現在、アルゼンチン国内で最も有望視されている選手である。
2018年10月、名将マルセロ・ガジャルド監督によってプロデビューを果たし、その1カ月後に行われたコパ・アルヘンティーナ準決勝ではPK戦で5人目のキッカーとして登場。新進気鋭の若手に大役を任せた理由として、ガジャルド監督は「このような大舞台を徐々に経験させるためだ。彼は一流の選手だし、1週間前に(練習でやった)PK合戦でも私を負かしてくれたから」と説明したが、さらに翌月にはスペイン・マドリッドで開催されたコパ・リベルタドーレス決勝の第2レグ、ボカ・ジュニオール戦(○3-1)で延長戦の途中から出場させ、期待の高さをうかがわせた。
そもそも、普段から社交辞令とは無縁のガジャルド監督が、プロとしてデビューしたばかりの18歳の新人を「一流」と称したこと自体が異例だった。選手養成校として数々のスターを育て上げた実績を誇るリーベルは才能の宝庫で、ガジャルドに見込まれてトップチーム入りした若手は大勢いるが、そんな中でもアルバレスは特別な存在なのだ。
メッシとまったく同じ天才児エピソード
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Profile
Chizuru de Garcia
1989年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。