2020年1月。高校卒業を待たずに、スイスのFCシオンへと単身で乗り込んだティーンエイジャーは、2年間という短くない時間を異国の地で過ごした。先行きの見えない不安や押し寄せる孤独と戦いながら、持ち前のポジティブシンキングで自分と向き合った日常は、間違いなく人としての幅を広げてくれたという。
湘南ベルマーレに帰ってきた若月大和がスイスでの日々を振り返るインタビュー後編は、W杯優勝を知るファビオ・グロッソ監督との出会いや、旧知の鈴木冬一(ローザンヌ)とピッチでの再会を果たした2年目を中心に話を聞いた。
良き理解者、ファビオ・グロッソとの邂逅
――2年間の中では20-21シーズンに指揮を執っていたファビオ・グロッソ監督の時が最も試合に起用されていたようですが、やっぱりいろいろな意味でグロッソ監督が一番良かったですか?
「そうですね。グロッソ監督は一番自分にチャンスもくれましたし、一番プレースタイルを理解してくれていて、ちゃんと練習を見てくれたなと思います。ベテラン選手だから使う、とかではなくて、練習で良い選手を常に見ていてくれたところはありましたね。向こうにいる間に5回も監督が代わったんですけど、2年間なので3、4カ月で代わっていったんですよね。そうなると、その数カ月の中でアピールし続けないと試合に出られないですし、新しい監督が結果も出していない自分を試合で使うかと言ったら、そんなことは100パーセントなかったんです。その中でグロッソ監督が来た時はゲーム形式の練習も多くて、しっかり練習を見てくれましたし、その中で自分を使ってくれたことには感謝していますし、その時期にスタメンで出られた6試合は本当に大きな自信になりましたね。『自分もやれるんだ』という気持ちになりました」……
Profile
土屋 雅史
1979年8月18日生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社。学生時代からヘビーな視聴者だった「Foot!」ではAD、ディレクター、プロデューサーとすべてを経験。2021年からフリーランスとして活動中。昔は現場、TV中継含めて年間1000試合ぐらい見ていたこともありました。サッカー大好き!