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今こそ考えたい!浦和の万能戦士・明本考浩の適正ポジションはどこなのか?

2021.12.21

栃木SCから新加入し、1年目からリカルド・ロドリゲスの浦和レッズに欠かせない戦力になった明本考浩。ところが、彼は右サイドハーフ、1トップ、トップ下、左サイドハーフ、左SBと実に様々なポジションで起用されてきた。2021シーズンが終わった今、果たして最も向いているのはどこなのかを考えてみたい。

 うおおおお、猪突猛進!

 敵を見つけたら一直線に飛び込み、身体でぶちかます。今、その圧巻の突進力を見せつけるファイターと言えば、嘴平伊之助か、あるいは明本考浩か。

 明本は試合の序盤から終盤までよく走る。プレッシングは一瞬たりとも手を抜かず、球際を戦い抜く。その献身性は最初の1試合目から遺憾なく発揮され、今季は初年度ながら浦和サポーターの心をがっちりと掴んだ。

明本を支えるベーシックな4つの柱

 彼のプレースタイルを支える4つの柱がある。デュエル、スタミナ、スピード、左足だ。

 「スピード」は軽やかな快速系ではない。パワーとスピードを兼ね備えた重厚感のある速さだ。「馬力のある選手」という表現が似合う。明本のそれは、相手をかわすための走りではなく、相手にぶちかますための走りだ。

 デュエルが強いことは、サッカーにおいては信頼の証でもある。アイツなら負けない。局面を任せられる。ファンも安心して見られる。デュエルが弱い選手は、その信頼がないため、相手のボールが入って来ると、周囲の選手がバタバタと落ち着かなくなる。その意味で、デュエルに自信を持つ明本は、信頼できる選手だ。

 また、彼は良質なファイターでもある。危険型ファイターの場合、レッドカードをもらうようなタックルを見舞ったり、接触に苛立って余計なカードを受けたりと、プレーが揺れがちだが、明本にそれはない。これは柴戸海も似ているが、激しい球際のファイトと、落ち着いたメンタルが両立するため、重ねて信頼感がある。

J1第23節では試合終了間際にコンサドーレ札幌が迎えた決定機を得意のプレスバックで防いだ明本

 これらはポジション云々ではないサッカーの基本だ。DFだから、MFだから、FWだからと問わず、全選手に求められる。今季の明本は、そのサッカー選手としての基本的な信頼感と、左利きの希少性、さらにリカルド・ロドリゲスの志向も相まって、様々なポジションで起用されてきた。

 右サイドハーフ、1トップ、トップ下、左サイドハーフ、左SB。

 前所属の栃木SCでは主に2トップで起用されたが、浦和ではチーム事情に応じ、対戦相手に応じ、明本のポジションが目まぐるしく入れ替わった。実際、GK以外ならどこでもプレーできるのだろう。ユーティリティ性と、選手としての信頼感はイコール。それは彼の特性だ。

 ただ、シーズンが終わった今、「明本の本当のポジションはどこなの?」というお題を編集部からいただくことになった。確かに特性とはいえ、ユーティリティと器用貧乏は紙一重なので、その考察には意味があるかもしれない。今季を振り返りつつ、改めて考えてみたい。

第一条件:右サイドより左サイド向き

 ……とはいえ。正直、「ここが最適!」という答えは出しづらい。フィジカルで圧倒できるJ2の舞台なら、明本はFWが最適だろうし、栃木SCのカウンタースタイルにも2トップ起用が合っていた。しかし、リカルド・ロドリゲスが志向するポゼッションスタイル、さらにJ1の屈強なCB陣を踏まえれば、明本はFWが最適とも言い切れない。

 監督が変わり、チームが変わり、舞台も変われば、最適ポジションが変わるのは当然だ。サッカーは相手ありきだから。

 なかなか最適の一発回答は難しいので、逆に「ここは違うんじゃないか」というポジションから挙げてみよう。個人的には、右サイドハーフは違うんじゃないか、と思っている。……

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戦術明本考浩

Profile

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』『日本サッカーを強くする観戦力 決定力は誤解されている』『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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