12月12日のリーガエスパニョーラ第17節、サンティアゴ・ベルナベウで開催された今季マドリッドダービー第1ラウンドは、16分(ベンゼマ)と57分(アセンシオ)に2ゴールを挙げたアンチェロッティ監督のチームが力の差を見せつける結果となった。これでリーガ7連勝、CLを含めて公式戦10連勝&2カ月無敗の12勝1分。2位セビージャ(1試合未消化)に勝ち点8差、そして4位アトレティコ・マドリー(同)には13差、8位バルセロナ(同)には18差をつけ、首位を快走する今季のレアル・マドリーはなぜ強いのか。
ビニシウスが決定的に関与するカウンターで勝利――というのは、ここ最近のレアル・マドリーの絶好調ぶりを踏襲するものだった。10月3日のリーガ第8節エスパニョール戦に敗れたのを最後に、その後は公式戦12勝1分(リーガ8勝1分、CL4勝)で、バルセロナもセビージャもソシエダもアトレティコ・マドリーも一矢報いることさえできなかった。
何が変わったのか?という問いに答えるには深い分析を要しない。この間の先発メンバーと並びを眺めるだけで十分である。
まずシステムが[4-3-3]に固定された。[4-4-2]が使われたのはエスパニョール戦が最後。次にメンバーが固定された。今のレアル・マドリーの先発メンバーは誰でもほぼ当てられる。アトレティコ・マドリー戦の先発、クルトワ:カルバハル、ミリトン、アラバ、メンディ:モドリッチ、カセミロ、クロース:アセンシオ、ベンゼマ、ビニシウスのうち、アセンシオを除く10人はケガがない限り確定で、謎なのは右サイドがアセンシオなのかロドリゴなのかだけである。彼ら不動の10人が先発でそろい踏みしたのは、負けなしの13試合中5試合あり、1人欠けたのが7試合、3人欠けたのが1試合。カルバハル、メンディ、モドリッチ、ベンゼマ、ミリトンが少し休んだくらいで、いつもの顔ぶれがフル回転している。
「うまくいっているものを変える必要はない」が持論のアンチェロッティは、5大リーグで最も交代数が少ない監督である。好調の波に乗って、アセンシオが成長してロドリゴとポジションを争うようになり、ベンゼマのバックアッパーとしてヨビッチも計算できる戦力となった。中盤の交代要員としてはカマビンガ、バルベルデが控えている。その一方で、イスコ、アザール、マリアーノは信頼されておらずベンチに座っているだけで、ベイルに至っては招集すら稀だ。
戦術は完全にカウンター
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Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。