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『納得できないけど理解はしろ』湘南を襲った悲劇からの残留

2021.12.15

4チームが降格する過酷な戦いとなった2021シーズンJ1の残留争いを、勝ち点1差で制した湘南ベルマーレ。直前には信じがたい悲劇に見舞われながらも残留を勝ち取った彼らの、シーズン最後の2週間の軌跡を追った。

 11月24日、湘南ベルマーレから信じられない報せが発表された。

 「訃報のお知らせ オリベイラ選手」。

 つい先日までともにグラウンドでボールを蹴っていた23歳のチームメイトが、あまりにも早い年齢で亡くなった。

 4日後には徳島ヴォルティスと残留を懸けた今季の大一番が控えている湘南に、計り知れない悲しみが襲いかかった。

 「簡単に『切り替えろ』と言えないですし、自分自身もそう簡単に受け入れられていない。それが自然なことです。選手たちにも『納得できないけど理解はしろ』という話をしました。チームは日常を普通に送れる状態ではないところがありますけど、時間は待ってくれない。シーズンに関してもあと10日ほどで終わるので、『彼の思いを背負ってやっていこう』という話をしてみんなは(練習に)取り組んでくれています」と山口智監督。突然過ぎて飲み込めない現実に直面しながらも、選手たちはなんとか顔を上げようとして徳島戦へ臨んだ。

 この徳島戦は今シーズンのホーム最終戦でもあった。クラブはオリベイラのために献花台を設置。サポーターからの要望によって、その横には寄せ書きのスペースが設けられた。……

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富居大樹湘南ベルマーレ

Profile

舞野 隼大

1995年12月15日生まれ。愛知県名古屋市出身。大学卒業後に地元の名古屋でフリーライターとして活動。名古屋グランパスや名古屋オーシャンズを中心に取材活動をする。2021年からは神奈川県へ移り住み、サッカー専門誌『エル・ゴラッソ』で湘南ベルマーレやSC相模原を担当している。(株)ウニベルサーレ所属。

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