11月25日、サンフレッチェ広島の新監督に就任することが発表されたミヒャエル・スキッベ。56歳のドイツ人指揮官はいったいどういったタイプの指導者なのか。彼の母国ドイツ在住の中野吉之伴さんに、これまでのキャリアや過去の発言から解読してもらった。
サンフレッチェ広島新監督に就任したミヒャエル・スキッベは、これまで様々なカテゴリーで指揮を取ってきている。
シャルケとドルトムントではU–19監督やユースコーディネーター、ドイツサッカー連盟ではA代表のアシスタントコーチと育成ダイレクター、ブンデスリーガの舞台では前述のドルトムントをはじめレバークーゼン、フランクフルト、ヘルタ・ベルリンのトップチームで監督を歴任。
海外経験も豊富だ。トルコでは名門ガラタサライを筆頭に数クラブ、スイスでは古豪グラスホッパー、ギリシャでは代表を指揮。最後に率いていたサウジアラビアのアルアインは会長との意見の相違を理由にわずか半年で辞任している。
はっきり言ってしまえば、タイトルとはほとんど縁がない。トップレベルで手にしたのはガラタサライ時代、主要タイトルではないスーパーカップのみ。ドイツ代表のアシスタントコーチとして経験した、日韓W杯準優勝が最も輝かしい戦績だろうか。ブンデスリーガではドルトムント時代に4位、レバークーゼンで5位とまずまずの成績を残している一方で、ヘルタ時代にはわずか50日足らずで解任されたこともある。また、ギリシャ代表でもW杯出場は果たせなかった。
プロ指導者として、結果で判断されるのは致し方ないことではある。ただ、指導者としての手腕を考えるのであれば《そもそものスタート地点がどこで、そこでどのように取り組み、どのような変化をもたらしたのか》を分析する必要があるだろう。
その国、そのチームを理解した上で指導
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Profile
中野 吉之伴
1977年生まれ。滞独19年。09年7月にドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを取得(UEFA-Aレベル)後、SCフライブルクU-15チームで研修を受ける。現在は元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU-13監督を務める。15年より帰国時に全国各地でサッカー講習会を開催し、グラスルーツに寄り添った活動を行っている。 17年10月よりWEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)の配信をスタート。